『MIBU』と書かれたシンプルな掛札のかかった扉がある。
5階、エレベーターから出て左手一番奥。
5階、東階段を上って目の前。
中に入ると、広い間取りの玄関と、その先に続く廊下。廊下の先にはこれまた広いリビングが。
花を生けた花瓶、絵画、各種インテリアが置かれたその部屋は綺麗に整えられており
埃ひとつない、とは比喩にもならないほど。
玄関前の廊下から分かれる客間、その部屋の一番奥にあたる寝室ですら、日々の掃除を怠ってはいない。
そう、『彼女』の性格からはとても想像がつかないほどに。
キッチンから香ばしい匂いがする。
その匂いの主は、彼女の作ったクッキー。もはや、彼女の日課となっているものだ。
来客があれば、気だるそうに玄関へと向かう。意外にも彼女は綺麗好きだったのだ。
「あぁ、いらっしゃい……ふあぁ…ねむ」
―――尤も、その身嗜みを除けば、だが。
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壬生 由貴奈の個人部屋トピックです。
原則、非入居者の方を含めどなたでも入室可能です。
彼女が何かしらのんびりやってますので、ご自由にお入りください。
ほいほい、全部ねー。
(今のうちに詰めてしまおう、とソファを再び立ち上がろうとして)
おー…紅茶缶かぁ。えっ、なにくれるの?
いやぁちょうど残り少なくなってたんだよねぇ、助かった助かった。ありがとーね。
いくら安かったって言っても、二缶なんてさすがに高かったんじゃない?アレならちゃんと払うけど?
あー……ちょっと勘違いされちゃった。
うち、軽音部に知り合いっていないんだよねぇ……たぶん。
もしかしたら居るかもしれないけど、うちが知る限り軽音部に所属してるって聞いたことはないなぁ。
ただまぁ、確かに学生でないと高校の部活に顔出すのは難しいよねぇ……OBでもないと。
(突然身を乗り出した様子を見て)
……?(首を傾げ
いつぞやキーボードを直したときも、確かにお礼とかそういうのはもらわなかったねぇ。
そもそも、もらう気すらなかったわけだし。それは今も同じ。
しいちゃんに感謝されたいとは思っても、モノをもらいたいとは思わなかったからなぁ。(にやぁ、と笑って)
あーでも、そうだなぁ身体で払ってくれるのかぁ。じゃあ今日からずっとしいちゃんを抱き枕にしちゃおうかなぁ。
……あっ、でも冬はいいけど夏は逆に寝苦しくなるかなぁ。
(うーん、と話そっちのけで腕を組んで唸っている)