こちらは展示物の紹介トピックになります。
恐れ入りますが、管理人以外は書きこまないでください。
……と、壁に寄りかかり、館内を見上げて気付く。
中央の天球儀を囲むように吊られた翼達。
ある物は籠の両端にコウモリに似た翼を備え、ある物は椅子に鳥の翼を六枚も備える。
中にはらせん状のプロペラのような翼に袋を下げただけの物も有り、見ているだけで目が回りそうだ。
いずれも抱えられる程の模型であり、いくつか気付いてはいたが、こうして見ると十数個はあろうか。
指差し数えるアナタの元へ、館主が嬉しそうに歩み寄る。
「沢山有るでしょう? 全部で十七の模型が館内を飛んでいます」
昔の飛行機ですか? アナタは問う。
笑顔で何度も頷きながら、館主は空を抱くように手を広げた。
「空に憧れた先人達の試行錯誤。
実験室での憧れに終わった物も有れば、後に実寸で作られ羽ばたいた物も有ります」
ですが……、と広げていた手を胸に当て、表情を引き締める。
「実際に飛んだ物は殆んど有りません。浮いたとしても数センチ。
かの有名な兄弟が飛行するまで数千年、多くの挑戦者が失敗を重ねて来たのです」
アレは何世紀の、アレは高名な科学者の、丁寧に説明をする館主の言葉が、ある展示物の前で途切れた。
ソレは他の展示物の影に隠れた、焦げた籠。
傍らに煤けた布が畳まれている。
首を傾げるアナタに館主が答える。
「ソレは飛行機の類では有りません。百年ほど前の熱気球ですね。
本物なので展示スペースが無く、このような扱いになってしまっています」
館主は語る。
焦げた気球の物語を。