『入館無料』の貼り紙と、開け放たれた門。
アナタは気後れしながらも門をくぐった。
青々とした芝生と季節の花に彩られた庭を進み、薔薇のアーチをくぐったアナタの前に、背丈の倍はあろうかという巨大な扉が現れる。
ゴシック調の白い外壁に負けぬ存在感を放つ、黒い観音開きの扉の前に立つと、薔薇に囲まれた獅子のノッカーの横に『入館の方はこちらを鳴らして下さい』と書かれている。
意を決したアナタが2回ソレを鳴らすと、ゆっくりと扉が開き始めた。
出迎えてくれたのは美しいオルゴールの音色、そして暖かみのあるオレンジ色の灯りだった。
館内を見渡すアナタの後ろで、扉がゆっくりと閉まっていく。
アナタの目の前には美しく、無機質で、異様な、混沌とした光景が広がっていた。
横からアナタに声が掛かる。
「お客さんですね。ようこそお越し下さいました。まずはこちらで、お茶でもいかがですか?」
・・・・・・・・・・
(こちらは雑談トピになります。)
(須崎さんの指の動きをじっと見て)
ふむふむ・・・須崎・・・蒼志・・・君。須崎君ですね。
うん・・・多分ですけど、覚えました。
(見た動きを確認するように左の手のひらに指で書きながらこくりと頷く)
ふふ、きみも卒業後は誰かに渡すようになるかもしれませんよ。
(大人だという言葉にくすっと笑って)
(呉井さんの言葉にはにかんで)
ああいえ、講師や師に不評だったわけではないんです。
学校での授業や師の工房で作る作品は女性向けの綺麗な物が多かったので・・・。
あまり触れていない、ドクロなどを作って提出し始めたのはいいのですが段々とその・・・。
・・・リアルな造形に拘ったり、禍々しさを増していった物を何度も提出していましたので。
先人達の作品もリアルなドクロを模している造形が多くて資料も豊富ですし、つい熱が入ってしまいました。
(頬のあたりを指で掻いて苦笑して)
呉井さんのニャッタ君のようにかわいい物もたまには作っていればよかったのですけどね。
(ふふっと小さく笑って)
(皆口さんの言葉に頷いて)
はい、一言に美術品と言っても種類は多岐に渡りますからね。
アクセサリーにしても、私が作るのは金属や宝石類を加工した装飾品ですが裁縫で作る物もありますし。
それぞれ自分が好きな物、得意な物に従事した先で自分の知らない世界や感性に触れる。
面白い業界だと思います。
(微笑みを浮かべ小さく頷く)