遊園地の敷地内にある野外音楽堂
石造りのステージでは嘗て手品やお芝居、ヒーローショーが演じられていたが、今は演者も観客もなく静まり返っている
ステージには壊れたピアノが一台打ち捨てられている……
…私はね、現実なんて見てはいないのよ。
消えない過去に縛られて
甘い夢や希望に追いすがっては
届かないと知って蹲ることの繰り返し…。
祈りは届かない。願いは叶わない。
私自身が一番よくそれを知っているのに
諦める事が出来ないの。
前を見据える事も出来ずに、
光に怯えて、闇に逃げ込んで
闇の中で独りきりになることにも怯えるの。
人間らしさなんてものは
私には必要ないものなのよ。
それがあるから私は迷って
笑うことすら出来なくなるの。
…手を伸ばせば、私を助けようとしてくれる人は何人もいる。
それも私は、知っているの。
家族や友達、貴方も、そう…。
だけれど、私が助けて欲しいと願うのは
いつでもたった、一人にだけ。
他の誰でもない、たった一人…。
その人も、私を救おうとはしてくれるけれど
傍にいてもいいと、言ってはくれなくて…。
考えれば考えるほど、ぐちゃぐちゃになっていくの。
もっと気楽に生きたいと、願っている筈なのに…。
私はなんて愚かで、見苦しいんだろう…。