遊園地の敷地内にある野外音楽堂
石造りのステージでは嘗て手品やお芝居、ヒーローショーが演じられていたが、今は演者も観客もなく静まり返っている
ステージには壊れたピアノが一台打ち捨てられている……
好きに呼んでいいんですか?
よーし、そんじゃ遙さんって呼びますねぃ☆
ありゃ??意外でしたん?何でかなぁ??
えーっと、よく作るのは樹脂粘土や銀粘土の置物や人形、アクセサリー類ですよぅ。
ハーイ。もし陶芸が得意な人の作品を見る機会があったら、どんな感じだったか
教えて下さいねぃ♪
そうそう。オレが作るものは、さっきの猫の人形みたいな丸っこいのだったり、
遙さんが言ってたような生物学上の進化の斜め上っぽい形態になる事が多いでっす。
(猫の人形の他にも、タラコ唇なクマさんがついたイヤホンジャックも見せて)
ほら、こーいう感じの~、って流行ってるかどうかはわかんないけど、
オレ自身きもかわ系も好きなんで、色んなの作っちゃってますわー。
ドラムの方は、中学の時にライブハウスによく入り浸ってて、
そん時お世話になった人に教えてもらったんですわ。
うんにゃぁ、不遜なんて事はないですよぅ。
寧ろオレの弟にも同じ台詞を言って欲しいなぁって思った位ですし(はぁ~…と溜息)
なるほどぉ。時任さん、練習熱心な人だったんですねぃ。
そして、そんな時任さんの調律的な存在が遙さんだった、と。
んー?だけど、曲の方は……麻薬みたいなものになってたって事はー…。
おーぅ、困った。ちょっとこんがらがってきたわー…(首をひねる)
ん…。あぁ、この人の演奏は…っていうのは、オレの個人的な感想だから、
会って間もない、しかも友人の方に言うのはあんまし良くないだろーなぁ…って思って、
自重しただけです(苦笑)
(再びウォークマンをじっと見つめてから、頷いて)
わっかりました。んじゃ、遠慮なく聴かせてもらいまっす。
あ、オレだけ聴いてると、遙さんが超ヒマーになっちゃうし、片耳だけ借りますねぃ。
(片方のイヤホンを遙さんに差し出し、もう片方を自分に耳につけて再生ボタンを押し、
目を閉じたまま、イヤホンから流れてくる音を静かに聴き始める。)