遊園地の敷地内にある野外音楽堂
石造りのステージでは嘗て手品やお芝居、ヒーローショーが演じられていたが、今は演者も観客もなく静まり返っている
ステージには壊れたピアノが一台打ち捨てられている……
(「男性なら」。そう言われ、目から光が消えた。科を作るように首を傾け、投げ遣りな声を向ける)
……はあ。どうでしょうねえ。立証するには「実験」による「観察」と「研究」が一番です
『神に愛された者は夭折する』という言い回しがあります。
早期にその才能が失われた事を嘆く意味もありますが、昨今の研究では天才は誰でも出来る事が出来ないという偏った才能の持ち主ではないかと、脳科学では云われています。病跡学という学問があるくらいです。
ある精神科医は言った。『天才は狂気だ』と。むしろその遺伝子は劣勢であるとする説すらある。
狂人の行動は、理解は出来ない。その逆も然り。
どうすれば。どうでしょうね。苦言を聞き入れないのなら別の言い方をすると云う手も
僕ならこういう「使い捨ての女で遊ぶ暇があるなら僕を見ろ」ってね
(ぼんやりと閉じかかった瞼に収まっていたのは意思も感情も無いただの眼球だった。感情を押し殺したような声でうわごとのように)
犬の名前は……何だったかな
僕は名前で呼んで事なかったから
まだ居ますよ……帰巣本能が強い犬だから……
僕の隣で吠えるんです「大丈夫」だとか「大好き」だとか
僕はひどい飼い主だ……まだその鳴き声は聞いていたい……誰かに拾われるのも嫌……
真意は分かりません。貴方は関係なくて別の理由があったのか
貴方は物ではない。そう言いたかったのは、果たして誰だったのか……
反応しないなら、刺激を加えるしかない。その反応が薄ければ、しだいに刺激は過剰になっていく
それが不快なものであっても、「何もない」よりかは余程良い、本当はもっと別のものが見たかったのかもしれないけれど、それしか方法を知らなかった
というのは僕の話です
医者ではないですけど、まあ、似たようなものです
な、なんですか!?
別に……それだけですよ。少し話して、僕が冷たい態度をとったのにあの人は……
純情?僕が?
騙しとおす……むう、バレている気がする……
トラウマ……(その言葉を聞くとさも不快そうに声を震わせ)
僕は母に――
(ぞっとして腰を浮かし、心細い体を抱きしめて目を瞑った)
いえ……
(首から汗を滲ませ、蒼ざめた顔で縋るように斑鳩さんを見つめ、その言葉ひとつひとつに無言で頷き)
……はい……。
幸いにも僕の周囲には好意が上回っている女性が多いです。ええ、
ですから、斑鳩さんの言う通り……その……
(言葉を探すうちに次第に俯きがちになって、不安げに指を弄り