遊園地の敷地内にある野外音楽堂
石造りのステージでは嘗て手品やお芝居、ヒーローショーが演じられていたが、今は演者も観客もなく静まり返っている
ステージには壊れたピアノが一台打ち捨てられている……
天国、ですか。地獄ではなく?
貴方は信じていないけれど、時任さんは信じていたのでしょう?
だとしたら、彼の魂の救済を願うのだって悪くない……
それだけでも、救われる……気がします
ええ。妄想かも。それにしては都合の悪い妄想ですね。理屈を捏ね回す性根の曲がった子供。そんな妄想を見る斑鳩さんは、相当お疲れのようですね
僕に触れる?(少しびくつくも、強がってふふんと笑い)
ええ、構いませんよ。試してみます?ただし怪我しても知りませんよ。ひっかくかも
(挑発的に笑って、すっと距離を詰める。いたずっらぽく笑いながらも、ごく僅かに震えた手で自分から斑鳩さんの顔を触ろうと指をくねらし)
そうなのですか。じゃあ今は気を抜いていない?
(本当に方言で喋った斑鳩さんに、目を丸くして驚いた)
本当だ……。何だか、印象が違いますね。適当な言葉が見つからないけれど、、、かわいい、、、ですね
(本当に驚いて思わず口に出したが、気付いて慌てて訂正する)
あ……ごめんなさい、、、し、失礼な事を……
僕が一番最初に軽蔑した人間は両親ですから。僕が彼らから学んだ事は、人間とは愚かしい生き物だ、と云う事実。そして僕のその血を受け継いでいる。嫌という程に
うう、はつじょ……そんなぁ!?そんなふうに見えます!?
正常な訳ないでしょう自分でも自覚はありますよっ……はあ
(興奮して騒いだあと盛大に落ち込み)
高校の時の……それが初めてのお付き合いですか?なしくずしなら恋愛感情は無かったんじゃないですか?それが恋?ええと、その間、どきどきしたりしたんですか……?その、もっと近づきたいとか、思ったりしました?斑鳩さんからは想像できないけど、逆に興味があります
え、僕の話……そんなに興味があるんですか……(眉を下げてしどろもどろ)
どうせ面白がってるんでしょう……
いじわる……
(拗ねた顔で斑鳩さんをじーと見て)
だいたい何を話せばいいのか分かりませんよ……
僕が言えるのはその人が好きで好きで気が狂いそうだという事ぐらいです