6月ももう中旬、島の変化にもようやく慣れてきた飛鳥は、休みの一日を使ってあることを考えていた
昔寝子島にすんでいた隠れ陰陽師、葛山文長
その昔都で官人陰陽師をしていた彼は、さる高貴な方の呪殺を依頼されるが、これに失敗、都にいられなくなったので寝子島に落ち延び、隠れ陰陽師となり、拝み屋をやって暮らしていた
その彼が飛鳥の家のご先祖らしいが、どうもこの家には彼が残した日記があるらしいということを、彼女は祖母から聞いていた
大昔からこの島にすむ陰陽師が残した日記……かつて島で起こり、彼が立ち向かった怪異についてかかれたその日記があれば、この先の助けになるのでは、と彼女は……
これを大義名分にして
「勝手に読もうとすんじゃないよ、蔵の中に隠したけどどこにどう隠したかは言わないしこの先探し出して読んでやろうとか考えるんじゃないよ?」
と、固く禁じられていた日記の捜索に面白半分で乗り出そうとしていた
しかし祖母はことあるごとにこうも言っていた
「確かに怪異についてよく描いてあるが、誇張してるような部分もあるし、一人称だが無駄に大仰だし、事あるごとに自分のことが天才だの描いてあるし、ありもしないらしい事件も創作してるようだし、ろくな男じゃなかったんだろうね、この文長ってご先祖は」
しかし飛鳥にとっては内容の信憑性など二の次、大昔の陰陽師が書いた怪異についての日記、彼女にとってはそれだけで十分なのだ
ということで今日ばかりは、飛鳥も蔵にこもって物探し、自分への客が来ればその客も手伝いに引っ張り込んでいくだろう
(ということでこちらにいらっしゃるお客さんには、蔵の捜索を手伝ってもらうことになります、ダイスの出目に応じて変なものも発見してしまいます、リアクションはお任せします、期間は多分らっかみタイムが進行するかどうかするまではやります)
発見する可能性のあるもの
2(にゃんぞろ):葛山文長怪奇日誌……の、一ページ
3:黄色のこよりがかけられたおわんを二つ合わせたような形の土器
4:物々しい装飾の鏡
5:狸の置物
6:動かないホールクロック
7:色んな和風の仮面
8:鼠の死骸
9:葛山文長の妖怪画シリーズ(前衛芸術っぽいなんともいえないでき)
10:札とかで蓋がふさがれてる箱
11:古びた天球儀
12:形代(木製の人形っぽい奴)
な……なんだこりゃ……どす黒く禍々しい気を放ってやがる……!?
いちかばちか開けてみるか(ごくり)
(ぱかっ)
うおっ、なんだこの煙げほごほっ
て、てめえは!?
おー蔵ひっくりかえして何やってんだ飛鳥、ガサ入れか?
しょうがねえ俺も手伝ってやる
婆さんの昔の恋文でも出てくるかもしんねーしよ
Σってうわ!?鼠の死骸! ……こういう淀んだ場所でいると化けたりしないのかなぁ……(つっつきながら)
(奥にある収納とかの引き出しを開け閉めしてると本らしき物を発見)
お!?葛山文長怪奇日誌!? なーんだばあばも詰めが甘いなあ、まさか僕が蔵に入ると思ってないなんてさ、んじゃ早速読んでみよ……(めくろうと手にとってとると、表紙の厚紙の間に一枚も紙が挟まってないことに気づく)…………これってまさか、ページ全部ばらして隠した?
……ちょっと抜け目なさすぎでしょばあば!(思わず一人叫ぶ)