ウチの店の店舗だ。
アンティーク調の時計が多いのは…まあ俺の趣味だから気にすんな。
客もじゃんじゃん来てかまわねえ。店が繁盛すんのは願ったりだからな。
従業員達が出迎えてくれると思うぞ、俺も出てくっかもしんねえな。
(突き出された紙袋をちらっと見て)
ん?…おう、いつも悪ぃな。
ちょうど茶淹れたとこだ。ちょうどいいからあんたも食ってけ。
皿は…また二階だな。悪ぃが誰か取ってきてくれ。
(斉田の方に向き直って)
で、こっちも仕事の話はちゃっちゃとしちまわねえとな。
まず見積もりの方だが…。
メーカー…ブランドによって変わる。
それと当然っちゃ当然だが部品の具合によっても変わるからな。
オーバーホールでなんとかなりゃいいが壊れちまってればそうもいかねえ。
その場合は部品の取り寄せもある。ま、見積もり出んのはいっぺん中まで調べてからだな。
見たとここの手の時計ならオーバーホールだけで済めば2万前後ってとこか…仮の話だがな。
にしても昔からやってるだけあんな、たいしたもんだ。
表面だけで止めといた判断もだがバラした自体も綺麗なもんじゃねえか。
十年もったってのもたいしたもんだよ。オーバーホールってのは3年から5年くらいには受けんのが推奨されてる。だからよっぽど大事にされてたのはわかる。
ま、終わったら次のオーバーホール時期も出しといてやるからウチに持ってきな。同じ街のよしみだ、そいつの面倒もこの先見てやるよ。
(そう言うと時計を預かるための綺麗な布の敷かれた箱を差し出す)
…ま、いつまでもオヤジ共のしけた商売話してんのもわけえ奴らにゃ退屈だろ。
そいつ預かって見積書は後日出しとく。
せっかく淹れた茶が冷めちまう前に飲んでやんな。