希望戦士ニャンダム・オペレーション・エクソダス｜リアクション

希望戦士ニャンダム・オペレーション・エクソダス

●赤兜

　そして、コンビプレーで戦場を駆けるネムルとサキリの前に、ついに頭部を赤くペイントしたニャフが現れ、立ち塞がった。

「赤兜、あの砲撃をくらって生きているとはね……　同胞の仇だ。こうして鉢合わせた以上、生きては返さないよ」

　今までサキリと共に行動し、後方からのバックアップに徹していたネムルだったが、赤兜のニャフを見て、作戦行動を無視し一騎打ちを挑む。
　サキリもネムルの想いを汲んで、自分は自分の仕事をするためにニャブロー要塞の最深部を目指す。

　激闘の末、ネムルはニャフの苦手な遠距離戦で優位に立ち、勝利の一歩寸前まで辿り着いた。
　だがその時、ネムルは気が付いた。破壊された装甲の隙間から見える敵パイロットの姿、それは話に聞いている赤兜のそれと比べて、ずっと若い様に見える――
　そこにいたのは　公国軍のパイロット、トナミ・アカシ（灯斗南）の姿だった。

　トナミは『赤兜』と恐れられたエースパイロットの部下であったが、共和国でも名高い戦力を持つガルム中隊を襲撃した際、赤兜は敵の狼のエンブレムを付けた漆黒のニャンキャノンの砲撃で負傷を受けてしまった。そしてニャブローに帰還後に赤兜はそのまま死亡。その後、トナミが赤兜の機体を受け継ぎ、ニャブロー防衛にあたることとなり、それが『赤兜は生きている』と共和国内で噂になっていたのだ。
　赤兜の機体を受け継いだトナミは、いつか必ず隊長だった赤兜の仇を討つと胸に誓っていた。

「負け戦なのはわかってるけど、隊長の仇だけは討たせてもらう！」

　血を流しながらも叫ぶトナミの姿にネムルが動揺した。トナミはその一瞬の隙を逃さなかった。ニャフのヒート剣がニャンキャノンの胴を薙いだ。
　高熱に両断された胴が少し遅れたタイミングで爆発する。

「本物の『赤兜』は死んだのさ。すぐ地獄で会える――」

　燃えるニャンキャノンの残骸を眺めながら、トナミはぽつりとつぶやいた。

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