仲良くなりたい｜リアクション

仲良くなりたい

☆樋口弥生

　某スタジオで、ユニット『狛猫』のレコーディング中の獅子島市子は、樋口弥生と遭遇した。
「……おお？　樋口サン」
「あら、こんばんは獅子島さん」
　ライバル視……というより尊敬だろうか。
　偶然会えたのも嬉しいが、さらに市子の中にワクワクする考えが浮かんだ。
（いいコト思いついたし。ダメ元で頼んでみっか）
「あの、樋口サン。頼みごとがあるんすけど」
「あら、何かしら？」
「ウチらメジャーデビュー決まって早速アルバムも出すんすけど、そのナカでさ。野良猫サンの『On Monday』カヴァーしてーなって今思いついたんよ」
　『月曜日の野良猫』は、弥生が率いるバンドである。　
「……ダメかな」
　弥生は、市子のストレートな願い事に笑みをこぼした。
「いいわよ」
「条件があれば全て飲むし。ダメ元だから……え？」
　まさかの即答に、市子は耳を疑った。
「条件？　そうね……それじゃ一つだけ。あなたたちの初めてのライブに招待してくれる？」
「よ、喜んで！　そんなんでよけりゃー…ヨロシク頼ンマス」
　市子は、深々と頭を下げた。
　