空飛ぶパンツを捕まえて！｜リアクション

空飛ぶパンツを捕まえて！

●パンツドラゴンクエスト・前編

　空飛ぶパンツを追いかけて、サキリと刀は九夜山を山頂付近まで駆け登って来た。
　パンツが山頂へ集まったと思ったら、光と共に固まってドラゴンの形になった。
　羽ばたき、空を飛んでいるドラゴンを見ながら口元を注意してみると、チロチロと燃える赤い炎が見えた。
　刀はこれは見た目通りの能力を持っていると考えた方が良さそうだと、距離をとって警戒する。

「材料がパンツでも立派な強敵だな、血が沸くぜ」

　サキリはさらにナイフを構えながら言う。
　
「パンツが合体。スライムみたいなものか……それにしてもシュールな光景だな……」

　サキリと刀がドラゴンと見合ってると、そこへ騒ぎを聞きつけた旅鴉月詠も駆けつけてきた。

　月詠は持ってきたメモ帳に鴉の絵をさっと描き、近くに浮かんでいたパンツを一枚捕まえて、絵の中に封印した。
　これが月詠のろっこん『絵空事』である。
　さらに進化した月詠のろっこんには絵を中心に五メートル以内の生きた動物ではない対象との間に引力を発生させる能力が追加されているのだ。
　月詠がメモ帳と空飛ぶパンツの間に引力を発生させてメモ紙を射出すると、それらは次々とパンツを絵の中へと吸い込んでいく。
　月詠のろっこんに、身体の幾らかを吸い取られたパンツドラゴンは、これは溜まったものではないと身体をくねらせて空へと飛び上がり、メモ帳の引力の届かない距離まで舞い上がった。
　パンツドラゴンが空高く飛び上がった事で、両者の距離が開き、お互いに手を出せない拮抗状態が生まれた。

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