もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～｜リアクション

もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～

「ブドー狩りされちゃううう！！！」

　ハイテンションな絶叫とともに現れたのは、葡萄姿の快男児、もしくは怪男児、志波武道！
　飛び込み台からのような、見事なハイジャンプで、戦場の中心にダイブ！
　あっけにとられる一同を前に、莞爾と笑う。

「武道ちゃんセンパイ！」さすがの真央も、突然の出現に驚く。

「あー、俺のボディが葡萄にー！」その場でヌギッと服を脱ぎだす武道。「慣れないというか、変な感じがするぞ！？　って思ったんだ！」

「志波センパイ……」檸檬が呟く。脱いだらすごい先輩、脱がなくてもすごい先輩だ。

「でもやっぱり、ブーメランパンツハイテルンデスネエエ！！」大笑し、腹筋部をあらわにする武道。
　ある意味結果にコミットしてしまった、たわわに実った葡萄が、腰のあたりに艶やかに輝いていた。

　それを見て、一同の目の色が変わる。
　敬愛を集める彼とはいえ、果物の転生戦士。喰うか喰われるかの身の上。
　それに、志波武道の葡萄――食べてみたい。

　結果としてフィーナを庇うような形で登場した武道。
　意図したものか否かはわからない。

　一同の目を見て、武道は悟る。

　思いのほか、バトルを望む者が多いようだ。

　ならばーー此方も付き合ってやろう。

　ねじ伏せるのではなく、相手の主張、主義にとことんまでつきあってやる。
　相手が強引ならその強引さ、弱いならその弱さ、哀しいならその哀しさに、とことんつきあってやる。
　裸で。

「盛大にはじけるＺＥ☆」

　先手必勝と、いきなり奇襲を仕掛けてきた果物人間に、武道は自らの葡萄をはじけさせる。
　パァン！　景気の良い音とともに、漿液が爽やかな香りを振りまいて炸裂し、中の種が直撃する。

　果実爆発の推進力を利用し、破壊力アップ。
　さらに、どこから飛んでくるのか予測ができない。
　標的の至近距離で破裂するため、超巨大射程を獲得も可能。
　一石三鳥であり、さらに後味爽やか。

　怯む一同を前に、武道は己の葡萄をアピールする。

「葡萄の種アタック！　俺はこの技を『ブドブドアタック』と名付けた！」
　
　えー。
　ネーミングセンスがー。
　他人の必殺技ながらに、不満の声が上がる。
「俺にそんなもの、あると思ったか！」意気揚々と開き直る武道。

　次から次に現れる、果物戦士。来るべき戦いに、緊張が膨らむ……。

　その時、生臭い風とともに、ある予感が一同を走った。

　――誰かが、喰われようとしている。　