【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～寝子高バザール！｜リアクション

【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～寝子高バザール！

　軽快なドラムロールが鳴り響き、委員長の梨香の手によって、最後の垂れ幕が勢いよく下ろされる。

　　　生徒会長　２年１０組　志波武道

　武道は驚きと感激でしばし言葉を失った。
　それから陣営の仲間たちに深々とお辞儀をし、投票してくれた人に心からの――「ありがとう」！

　高峰一馬がいち早く手を差し出す。
「まぁ、残念じゃねえったら嘘になるけどさっ。なんだろ、候補者同士として近くで見てて……器みたいなもんを見せつけられたからなぁ」
　武道はその手を握り返し「サンキュ」と応える。

　立候補はしたものの選挙活動とは一線引いていた皆口従夢が遠巻きにニヒルな表情を浮かべていた。気づいた一馬は黙って彼に近づくと、ニカッと笑って慰めるかのように友人の銀髪をわしゃわしゃと撫でた。
　
　大変だったのは剣崎エレナと財前華蓮のライバルコンビである。
　ふたりともお互いに自分が当選すると信じて疑わなかったのだ。
「次期生徒会長と言われていた私が……」
「こ、これは夢ですわ……」
　ショックで真っ白になったふたりは抱き合いながら膝から崩れる。

　そして、そんな二人を見守る八五郎は胃が痛くなる思いで財布の中身を確認していた。
　華蓮を応援する立場だった八五郎にとって、この事態は非常に苦しい。
　言ってみれば、友だちのオーディションに付き添ったら自分だけデビューしちゃった、みたいな感じだ。
（財前さん、今日は夕飯のデザートにちょっといい店のケーキくらいは奮発するよ。食べて食べまくって憂さを晴らして……くれるといいなぁ）
　お札の枚数を確認しながら覚悟を決める八五郎であったが、そのとき、そんな諸々を吹き飛ばすような野太い歓声があたりに響き渡った。
　
　ユニフォームに身を包んだ都築弦一郎率いる屈強なラグビー部のみなさんだ！
　男たちは各役職の当選者に向かってタックル気味に走り込んで来て、口々に歓声をあげながらその身体を順に宙へ舞い上げる！

「ワッショーイ！　ワッショーイ！」
「おめでとう！」
「頑張れよ！」
　
　一馬やほかの男子生徒たちもちゃっかりラグビー部に仲間入りし当選者たちを胴上げした。

　最後に会長になった武道が胴上げされる。

「みんなー！　高校生活、楽しもうゼーイ！」

　高く高く空に上がった武道がピースサインでそう叫ぶと、生徒たちはその日一番大きく沸いた。

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