【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～黒猫組サイド｜リアクション

【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～黒猫組サイド

「勝ったのだ！でもまだ応援合戦は続くのだ、急いで準備してくるのだ～」
　勝利の瞬間を見届けた後木真央はフリーの応援タイムに向け、着替えに向かう。
「白猫組の頑張りもすごかった……胸を張っていい走りだったよ」
　奈良橋博美は、拍手して白猫組の健闘を賞賛する。
「あんな重いもの、みんなで運んできたんだな……」
　鴻上彰尋は、グラウンドの中央に交差するように立てかけられた白黒の応援旗を見つめた。
「なんだか、すごく誇らしい気分だね」

　応援旗リレーの興奮も冷めやらぬうちに、グラウンドでは再びマイクのスイッチが入った。風の方は、リレーを盛り上げる役目が終わったかのように弱まっていく。
「続いては、フリーの応援タイム！各チームから順番に、工夫を凝らしたパフォーマンスを披露していただきます。審査員は、運動技能を評価する相原まゆ先生、芸術性を評価する富士山権蔵先生、『若者の熱い思い』を評価する雨宮草太郎校長の３名です！」
　グラウンドの隅に置かれた長机に、紹介された3人の先生が座る。素早くマイクの設置をしているのは、放送部として応援タイム全般のフォローに回った鴻上彰尋だ。
「フリー応援タイムは、白猫組が2組、黒猫組が6組エントリーしています。まずは黒猫組、エントリーナンバー１、１年体育科９組の後木真央さんです！」
　マイクを手に司会進行を始める彰尋。実は役者に興味を持っている彼、大舞台に今日は気分が高まっている。

　アナウンスとともに現れたのは、先ほどトイレで手早く着替えてきた真央。ジャージを羽織っており、手にはリレーで活躍した虹色の大団扇が握られている。そして、虹色の巨大アフロが頭の上に乗っていた。
　真央は位置に着くと即刻ジャージを脱ぎ捨てた。観衆が思わずどよめく。身につけていたのは虹色のサラシと虹色の腰みの。ちなみに腰みのの下は虹色の褌だ。とにかくあらゆるアイテムが体育祭のテーマ通りの「虹色」だった。テーマを生かすべく頑張って考えた結果である。とにかく、すごい色合いだった。
　ギャラリーの驚きをよそに、真央は大団扇をぶんぶん振り回してエールを送る。
「黒猫最強～！頑張れ黒猫～頑張れ頑張れ頑張れ頑張れ黒猫ォー！！」
　初めのうちは、真央の声だけが響いていた。だが、まもなくエールに合わせた手拍子が入る。
「ハイ！ハイ！」
　本田誠也が、一人で手を叩き、相の手を入れていた。律儀に、几帳面にリズムにあわせて声を張り上げている。
「俺もだ！」
　それに続いて手を叩き始めたのは龍目豪だ。一人、また一人と黒猫組の生徒が手拍子や相の手に混ざり始め、大合唱になっていく。
「頑張れ黒猫！頑張れ黒猫！オー！」
　最後には白猫組の観客まで手拍子に参加、真央の応援は不思議な一体感とともに終わった。
「真央ちゃんは、応援する皆も応援するのだ～！」
　真央は満場の拍手とともに送られた。

　パフォーマンスの後は審査タイムへ。
「さて、後木さんの得点は？」
　彰尋に話を振られ、順番に講評をする審査員たち。
「すごく熱い応援でした！動き自体は難しくないけど、お腹から声出してるのわかったよ！」
　と、まゆ先生。
「あたしも感動しましたぁ～。でも、難しいのは配色ね。テーマは虹だけど、全部のアイテムを虹色にしちゃうと目がチカチカしちゃうから要注意ね！」
　と、フジコ先生。
「勝利に全力をかける思い、しかと伝わりました。仲間を後ろから盛り上げる姿勢も素晴らしい。合議の結果、得点は100点満点中79点とします！」
　と、校長。今一度、拍手が送られた。