【体育祭】七色のパン食い競争　白猫組サイド｜リアクション

【体育祭】七色のパン食い競争　白猫組サイド

【牛乳を飲む者達(1)】

　さて、競技もいよいよ後半戦に突入。
「よーし、みんなここでルールを再確認するぜぇ？」
　サンマさんの群れからずずいっと前へ進み出た一匹のサンマさんがマイクを片手に選手達にルールをもう一度読み上げます。
　これはパン食い競争の見せ場であるパン食いの瞬間を応援席の方々によりよく楽しんでもらおうという趣旨もあっての演出でした。
「バケツに入れた牛乳をコップ一杯飲むごとに吊されたパンが２０ｃｍ降りてくる。コップ一杯はだいたい２００ｍｌ、１Ｌ飲めば１ｍ下がってくるって寸法さぁ。シンプルだろぉ？」
　ドヤ顔で語るサンマさん。
　そこに駆けつけてきた生徒達が相槌もそこそこに柄杓を手にしたまた別のサンマさんのもとに走ります。
「グッッッド！」
「よし！」
　最初にサンマさんからＯＫサインをもらったのは御剣刀くんでした。
　サンマさんからコップに注いだ牛乳を受け取るとゴックゴックとコップ一杯一気に飲み干します。
「おお、いい飲みっぷりだぜぇ！」
「まだまだ！　あと四杯！」
　良い子のみんなは真似しちゃ駄目だぞ、と誰にというわけでもなく呟きつつ、刀くんは次々とコップを空にしていきます。
　そこに続いて羽生碧南さんも到着。
「あ、搾りたて美味しい！　これなら１Ｌくらい余裕ね！」
　幸い彼女は牛乳は苦手でも嫌いでもないようで、未体験の搾りたての味に舌鼓を打ちつつ、順調に牛乳を飲み進めていきます。
　さらにそこに牛に蹴り殺されそうになりながら、必死で牛乳を搾った灯斗南くんも姿を見せて。
（牛乳は好きでも嫌いでもないけど、やっぱり１Ｌは結構キツいな……）
　飲み慣れていない搾りたての乳にわずかな不安をおぼえながら、斗南くんは必死の想いでサンマさんの注いでくれた牛乳を飲み続けます。

　続いて、ティナ・フォルトゥスさんもサンマさんのところまで牛乳を持ってやってきました。
「グッッッド！　さあ、たんと飲みなー」
「……あ、ありがとうございますわ」
　やっぱりサンマさんのデザインおかしいですわーと心の中でツッコミながらごくごくと１Ｌの牛乳を飲んでいきます。
　最初にタイムを稼いでおいたトップグループの面々はここまで順調に順位をキープしています。

　ちなみに桜崎巴さんは今もなお『モーさん』から全力で逃走中のようです。

　さて、そしてそこに追いついてきたのが、乳搾りを上手にこなしてタイムを稼いだ鴇波羽衣さん、澪乃澄佳さん、レナ・フォルトゥスさん。
「さて、牛乳何杯ぐらい飲んだらいけるかなー？　２ｍちょいまではいけると思うんだけど……」
　太陽の光を照り返して輝く紫色のパンを見上げて、さらりと言ってのける羽衣さん。
　まずは三杯とあたりをつけて、あとのジャンプに支障がないように落ち着いて牛乳を飲んでいきます。

（……う～ん、ろっこんさえ使えたら楽ちんなのになぁ）
　眉を八の字にして唸るように言ったのは澄佳さん。
（でも、牛さんに追いかけられたくないからあたしは普通にがんばるようっ！）
　ぎゅっと決意に拳を固めて、澄佳さんはコップの牛乳を呷ります。
「うーん、やっぱり搾りたては美味しいねぇ！」
　じつはこのところ牛乳を飲むのを控えていた澄佳さん。
　久しぶりに味わう牛乳の味にほっぺたが落ちそうなほどの笑みを浮かべてごくごくと五杯飲み続けます。

「グッッッド！　で、お嬢ちゃんは何杯飲むんだい？」
「……１．３Ｌ、お願いしますわ」
　サンマの着ぐるみに色々と突っ込みたい気持ちを抑えて、にこりと笑って答えたのはレナさんです。
「オーケー、じゃあ六と二分の一杯だなー」
　サンマさんは意気揚々とコップに牛乳を注いでいきます。
（うまくいけば１Ｌでも届くかもしれませんが、失敗すれば大きな時間のロス。私は堅実にいきますわ）
　レナさんは牛乳をたくさん飲んで確実に届く高さまでパンを降ろし、手間を省く戦法をとるようです。