【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～白猫組サイド｜リアクション

【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～白猫組サイド

　左右２つのタワーは、幾度も練習した通りに少しずつ真ん中へ寄っていく。タワーが横並びになった瞬間、マリナがタワーに素早くよじ登った。マリナが月と夏朝の肩の上に直立すると、感嘆の声が聞こえた。下４人、中２人、上１人の三段タワーの完成だ。
　完璧なタイミングだった。音楽のクライマックスとともに、マリナは中段２人の肩をけってジャンプ。ミニスカートを翻しながら空中で一回転し、着地を決める。着地の瞬間、体をかがめて衝撃を吸収したマリナはすかさずすっくと立ち上がって、ポーズを決めた。
　グラウンドが歓声に包まれた。大音量の音楽が流れているのに、かき消されるような拍手がわき起こる。
「みんな、やりましたネ！」
　マリナはガッツポーズをして、ダンスに復帰した。タワーはちょうど花が開くように散開し、いよいよチアリーディングは締めに入る。
「女装っ子は勝利の女神になる」―――ジンクスを生かして、ロベルトと優がセンターに向かう。ハルくんを連れた夏朝も一緒だ。そして、周りに促されるようにキグルミも。キグルミの方は男装なのだけれど―――
「常に笑顔を忘れずにー！優子ちゃん、可愛いー！」
「こうなったらヤケクソなので全力で踊る」という誓いを立てている優は、すっかり女の子になりきってスマイル。一方のロベルトも、運動神経を生かして軽快な動きを見せる。微笑みを絶やさず、時にはウインクも投げ、ノリノリの演技を見せる。

　いつしか、会場全体が音楽に合わせた手拍子に包まれていた。白猫組の選手も、観客も。黒猫組の選手や先生までも。

　音楽は終わりに近づいていた。ラストの動き。一同はまっすぐに並ぶと、最後の音符とともに右手を高々と上げるポーズを取る。
　そして、その瞬間。
　11色のポンポンが、チアリーダーたちの手から離れ、同じタイミングで宙を舞った。

　赤色、朱色、橙色、山吹色、黄色、黄緑、緑色、青緑、青色、藍色、そして―――紫色。

　寝子高のグラウンドに、一筋の虹がかかった。

　少しの余韻の後―――グラウンドから、今日の応援合戦最後の、そして最高の拍手と喝采が巻き起こる。地面が割るかと思うばかりの音響が、飽きることなく続いた。

　グラウンドでは、12人のダンサーが立ち尽くしている。あっという間に過ぎた時間だった。すべてを出し尽くした達成感、全力でやりきった爽快感が、皆を包んでいた。

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