【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～白猫組サイド｜リアクション

【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～白猫組サイド

　白猫たちの中心部で朱色のポンポンを振っているのは凛だ。
（練習の成果を見せるよ！）
　場を盛り上げることには自信がある。自分の持ち味である元気、そして底抜けの笑顔を観客に見せつけた。
　もちろん、勝つことも目指す。だけど、何よりこの瞬間を楽しみながらやりたい！何事も、一生懸命にやるから楽しいのだ。

　黄緑のリボン付き尻尾を揺らせ、エヴァはここ1ヶ月のことを思い返す。
（この日に備えて、皆で集まって練習とかしたものね）
　11人が集まれる時間は限られているから、密度の高い練習をした。体力をつけるために走り込みもしたし、連携する力を養うためにうまくいかないところを何度もチャレンジしたり―――初めは、テンポが合わなくて通し練習もできなかった。諦めムードがチームに漂ったことも何度もあった。でも、くじけないよう皆を励まして、はっぱをかけたっけ。
（久しぶりに、どこかの鬼軍曹の気分になったわ）
　とにかく、最後まで大切に踊りきろう。エヴァは感傷的な気分を忘れ、ダンスに集中した。

　チアリーディングは、いよいよ中盤の見せ場に入る。
　向かって左側に五月と優が並ぶと、その肩に月が登り、立ち上がった。右側では、ロベルトとエヴァが同じように並び、肩には夏朝。左右に2段のタワーが出来上がった。上の人はまだ曲に合わせて腕を振っている。
　観客席がどよめいた。でも、月はさらに気を引き締めた。今日まで、何度も練習してちょっとした動きでも何度も確認した。自分の動きだけでなく、仲間の息遣いまで気を配る。そこまでしてようやくチームプレーは成功するのだ。きびきびした動作の正確さには自信がある。後は、皆を信じることだ。
　下にいる五月も同じ心境だった。
（土台が倒れてしまっては、元も子もありませんから）
　隣の優の肩をしっかり掴んでぶれないようにし、上にいる月を支える。足元のバランスを保つため、全身の神経を最大限に集中させる。

　タワー以外のダンサー、凛、優菜、みゆき、エリューシアは端によけながらバックアップに入る。キグルミも真似をする。時々片膝立ちにして身をかがめ、タワーの高さを引き立てる振り付けは、みゆきの発案だ。
　体を回すたびに、尻尾とスカートのひだがひらめく。エリューシアは懸命にリズムを取った。体力や筋力のこと、手を怪我する危険のことを考えてタワーには参加しなかった。だからせめて、練習の成果を出し切って、頑張ってくれる皆を引き立てよう。声楽のためにやっている腹筋も、チアのために増やしたのだから。

　タワーが少しよろめきかけたのを肩で察知し、ロベルトはさりげなく肩の位置をずらしてフォローする。観衆はこの時点でもかなり盛り上がっている。だが、山場はこれからだ。確実に成功させたい！