【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～白猫組サイド｜リアクション

【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～白猫組サイド

　体育祭まで一ヶ月を切った、ある日の放課後。
　寝子島高校の被服室からは、楽しそうな笑い声が漏れ聞こえてきていた。
「衣装ですが、全く同じではなくて、着る人に合わせてちょっとずつデザインを変えてみませんか？」
　まち針を片手に張り切っているのは、久良木優菜だ。
「体育祭、思いっきり楽しみたいじゃないですか！衣装も凝ってみましょう！」
　そう、白猫組応援合戦の出し物、チアリーディングの衣装を作っている最中なのだ。
「いいアイデアですね！優菜様の案には賛成です」
　ミシンでスカートを縫い上げる作業の手を止めて、エリューシア・セリアンが答える。
「違うデザイン……どこを変えたらいいのかな？」
　首をかしげる恵御納夏朝に、エリューシアが意見を出した。
「これの先に、それぞれ違う色のリボンをつけてみては？ポンポンの色もそれに合わせるといいと思います」
　彼女が手にとったのは、長い猫の尻尾だ。衣装は白猫をイメージしたものを作ることまでは決まっている。ミニスカートにくっつける尻尾の先に色違いのリボンを付けるというわけだ。
「すごく面白いと思います！みんなで並んだとき虹色になれば綺麗ですし、体育祭のテーマにもぴったり合います」
　賛成の声を上げたのは御鏡聖だった。今回の体育祭では、裏方として応援合戦を盛り上げるつもりだ。
「何色使うか、チアの人数を確定しなきゃ。ということは……」
　夏朝は被服室の片隅に目をやる。
　エリューシアは、くすりと笑って同じ方向に目を向ける。
「お二方、心の準備の方は―――？」
　視線の先には、二人の男子生徒。
「ふふ……誰だよ、あんなジンクス広めたのは……ついに、全校生徒の前で女装、しかもチア……」
　一人は、若干ヤケクソ気味に呟く初島優。
「確かにここで話題になれば美少年としての信頼アップ……僕の理想を実現する計画も円滑に進められるのではないか？しかし、女装は男としてのプライドが……」
　もう一人は、何やら小声で独り言を言っているロベルト・エメリヤノフだった。
「おかげで生贄にされちゃったじゃないかー！」
　優は絶叫する。寝子高には代々、「応援合戦で女装っ子が現れると、勝利の女神になる」というジンクスがある。優とロベルトは、その犠牲者（予定）というわけだ。
「二人とも、無理しなくていいですよ……。私も、なにかの間違いでチアリーダーに選ばれてしまいましたから」
　気を使って声をかける北原みゆき。だが、優は覚悟を決めたらしい。
「いや……うん、今更なんだけどねー。ネコミケでもしたからねー、女装」
　ロベルトの方は、まだ少し悩んでいる。
「いや……友人に言われた言葉が蘇る。『心に棚を作れ』と」
「ロベルト先輩、行きましょう」
　優の言葉に、彼の心も決まったようだった。
「よし！僕もやるよ、頑張るよ！センターでも土台でもなんでもやってやる！」
　拍手で迎えられる、男を上げた（？）二人だった。聖は二人に声をかける。
「歌舞伎などでは、女形という役割もあります。舞台を魅力的に演出するための大事な役割ですね。頑張ってください！」

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