【水泳大会】多分、生死を賭けた戦い（黒猫サイド）｜リアクション

【水泳大会】多分、生死を賭けた戦い（黒猫サイド）

【ついに、メドレーへと至る　スタート編】（黒２　白２）

「水泳部のエカテリーナ・クロキよ。メドレーのアナウンスを担当するね」
　そう言って、放送席に座ったのは、エカテリーナであった。
　運営関係を手伝う予定ではなかったのだが、相原先生に懇願されてここに居る。
「選手のアナウンスをします。
　1コース、黒：ティナ・フォルトゥス選手　『当然、勝つつもりで行くわ』
　2コース、白：常闇月選手　『少々大人気ないですが、私は勝たねばなりません』
　3コース、黒：後堂杖子選手　『どこ見てるんですか？　もっと見ますか？』
　4コース、白：志波武道選手　『楽しく勝ちに行こうぜぃ！』
　5コース、黒：尾鎌蛇那伊選手　『イクわよぉ！』
　6コース、白：佐々寿美礼選手　『ここが見せ所なんだから全力で頑張るよー！』

　……以上が、選手になります。また、競技は25メートルごとにバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の順に泳ぎます」
　エカテリーナは残り二名の生徒を呼びつつ、丁寧にアナウンスをする。
そのついでに、もうスタートするぞと、審判や記録係に軽く合図を送る。
　その付近には、新聞部が写真を撮りに来ている。
　修をはじめとする部員は、同意を得た競技の勝者に取材をしたり、メドレーの様子を撮りに来ているのだ。
「位置について、ヨーイ……」
　ドォン！
　空砲の音を合図に、一斉に選手達はプールに飛び込む。
　スタートのバタフライは、選手がほぼ同列で進む。
（水泳は専門ではないけど、運動系統に不得手はないわ。準備体操で気力は充実！　なら、あとは勝つだけよ！）
　そう蛇那伊は思い、前へ前へと進む。
（いい水泳びよりですね。でもちょっとこの水着きついんですが）
　最大サイズの水着に収まりきらないと本人が主張するそのボディのせいか、杖子にとって、バタフライはやや苦痛である。
　進むごとに、水の抵抗が大きく、体力が必要だが、その体力はあるほうであったが、体力が優位となるところまではいかない。
　その一方で、ただ全力で泳いでいるのはティナである。
（勝つ！）
　ただ、それだけでまっすぐ泳いでいる。
　白猫組がここで勝てば一気にリードを奪える。
　しかし、ここで負ければ黒猫組が一気に優位に立つのだ。
　そんな、黒猫組も負けてはいない。
（待ちに待った水泳大会、楽しむことが大前提だけど自分の種目だけは絶対勝つ！）
　水泳部の矜持か、寿美礼はやる気にあふれていた。
　しかし、勝負を仕掛けるのは終盤でと考えているため、現状は様子見をしつつ、じりじりとペースを維持することを考えているようだ。
　そして、同じようにいくつか勝負を仕掛けるポイントを設定しているものもいる。
（ちょいスランプだけど……プライドかけて負けられない！）
　そう思いつつ、泳ぐ武道である。
　スランプとはいえど、水泳部員。泳ぐ速度も、フォームも慣れたものである。
　そして、その水泳部員二人とは別の参加者である月がいる。
（私は、私のベストを尽くすまでです。声援……不思議ですね。普段以上に力が出そうです）
　気になる人の声援があったのだろうか？
　そういった人のためにもクーラーの獲得を目指している月は、メドレーの練習をみっちりしていた。
　運動関係には自信があったので、この競技の勝利をもぎ取る気満々である……。
　そして、25メートルのターン終了後、背泳で初めて勝負は動く。
　武道がターン終了後に一気に加速を始める。
　ブーメランタイプの水着を着ているので目立っている。
　しかし、それは決定打とはなっていない。
　蛇那伊と月の水泳部ではない二人が引き離されているものの、まだ逆転圏内であるからだ。
　遅れているのはティナのみである。
　技巧的な意味で、周りに一日の長があったのか、現状六人のうち、一番下についている。
　こうして、武道がややリードする形で、背泳は終わり、次いで平泳ぎとなる。