Riches have wings｜リアクション

Riches have wings

「ほどほどにしとねぇと、やべぇぞ」
　その様子を傍から見て、毒島柘榴はため息をついた。
「嬉しそうだわ……」
　祥子は眩しそうにその姿を眺めていた。
「あー……ども」
「はい、どうも～いつもお世話になっております～」
「薬屋「アネモネ」の毒島柘榴だ」
「甘祥子です」
　面と向かって話すのは初めてだったが、挨拶位は、と声をかける。
「いつも妻がお世話になってるぜ」
「いえ、こちらこそ喜好が～」
　ほわんとした人だとは思っていたが、こうして話してみるとますますその印象が強くなる。
「喜好は、よくやってる」
「……はい」
　けれどその返事を聞いて、ああ、母親なんだな。と強く強く実感した。
　すっと細められた瞳には、様々な思いが浮かんでいる。
　柘榴にはそのすべてを汲み取ることはできなかったが、きっと、周りにさえ恵まれればこの家族は大丈夫だ。と柘榴は思った。
　しかし。とも思う。
　祥子がお金を見ても、お金は落ちなかった。
　つまり喜好だけではなく、祥子も、ということである。
　またなにかあるかもしれないな……。
　柘榴はこっそりと心に留めておくのだった。