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爽風、あなたの物語
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五月の爽風、ハッピーバースデー
五月らしい爽やかな風吹くその日は、ゴールデンウィークどまんなかの5月3日。
何の日かって、
ウォルター・B
の誕生日である。
ねこぴょんの日から3年ほど経ち、
倉前 七瀬
は大学を卒業して寝子高の新任司書教諭になっていた。
つまりウォルターの同僚となり、お給料がもらえるようになったということである。
「5月3日は空けておいてくださいって言われてたから、
誕生日を祝ってくれるんだろうとは思っていたけれど……
まさかこんなに盛大に、七瀬に祝ってもらえる日がくるなんてねえ」
祝われる側のウォルターは、嬉しいを通り越して感慨深いといった面持ちである。
それもそのはず。
七瀬がウォルターを連れてきたのは、アフタヌーンティーを楽しめる星ヶ丘のホテルだった。席もこだわり、薔薇のアーチが綺麗なガーデンの一角。さらには友人の誕生日を祝いたいと事前に相談をして、ウォルターのイメージを伝えて特別に通常メニューにはない誕生日ケーキまで用意してもらっていたのだから。特別なこの日のために、4月に貰った初任給をどーんとつぎ込んだといっても過言ではない。
「お金はちょっとかかってますけど、なんせ僕もう社会人ですから!」
ふふん、と胸を張る七瀬。
ウォルターは笑って、彼の好意をすべて受け取る。
「以前だったら、学生の七瀬にここまでしてもらったら、自分もちょっと出さないとな、なんて年上気分になったものだけど」
「そんなことしないでくださいね。お給料はこういう時のために使うって決めていたんです」
「いやはや、胸がいっぱいになるねぇ……もちろんありがたく祝われるとも」
「じゃあ、改めまして」
七瀬は咳払いして、仰々しく立ちあがった。
「ウォルターさん、誕生日おめでとうございます!」
クラッカーの代わりにフラワーシャワーをぱっと散らすと、淡いピンクの花びらが青空にキラキラ輝き、5月3日という特別な世界を華やがせる。
「ありがとう」
ウォルターはそう言ってケーキの上のろうそくを勢いよく吹き消し、それから思わず笑顔になった。
「いやあ、嬉しいね、嬉しいねぇ! さっそくケーキも頂いてみようかぁ」
「はい。ぜーんぶウォルターさんのですから、遠慮なくいっちゃってください」
「じゃあ、この一番大きな苺をクリームごと……あむっ」
どうですか、と期待いっぱいの目をする七瀬に、ウォルターは、うんっ、と大きくうなずく。
「美味しいよぉ! 今まで食べたケーキのなかで、一番美味しいかもしれない」
「ほんとですかっ?」
「ほんとほんと」
「よかったです。お願いして作ってもらった甲斐がありました。……あ、そうだ。プレゼントもあるんです」
七瀬はいそいそと、ブルーの包装紙でラッピングされた包みを渡す。
「ありがとう。さっそくだけど開けていい?」
「はい。僕の手作りなので刺繍とかちょっと不格好ですけど……」
ウォルターが水色のリボンを外して包みを開けるのを、七瀬はドキドキしながら見守った。
「刺繍? ……おぉ。ハンカチだ! 普段づかいできそうないい柄だねえ、気に入ったよ。大事にするね」
「はい! よかったです……!」
プレゼントを喜んでもらえたことに安堵して、七瀬はふわふわと気の抜けた笑顔になった。
ウォルターはそんな七瀬にケーキを半分にして取り分けてくれる。
「ほら、七瀬も食べて食べて」
「えっ、こんなにいいんですか? 僕、ひとかけでいいですよ?」
「いいのいいの。僕だけじゃ食べきれないし、こんなにおいしいんだもの。幸せを半分こしよ?」
「……えへへ。じゃあ、いただきますね」
幸せの半分をもらって、七瀬もボール状にカットされたメロンをクリームごとぱくり。
「ん~幸せです! あっ、今日は僕じゃなくてウォルターさんが幸せにならなきゃ」
「大丈夫。君が幸せそうなのを見てるだけで、充分幸せだから」
微笑むウォルターのその金髪に、フラワーシャワーの花がちょこっと残っているのを見つけた七瀬は、愛おしい気持ちで指先を伸ばす。
「ふふ……かわいい。とってあげますね」
……本当は貸し切りにしたかった、と七瀬は思ったりもする。
初任給じゃそこまでのお金はなかったけれど、いつかきっと……!
そんな話をしたらウォルターは「楽しみにしてるよ」と笑っていた。
――爽やかな風が吹く五月。
「いつか」のために頑張れそうな気がする新社会人の七瀬であった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年04月27日
参加申し込みの期限
2026年05月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年05月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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