夏の！　まとめてハッピーバースデー♪　７月から９月まで☆｜リアクション

夏の！　まとめてハッピーバースデー♪　７月から９月まで☆

　8月18日の今日、深林真瞭は31歳の誕生日を迎えました。
（10代の時は時間が経つのが妙に長かったけど、20代半ばに入るといきなり加速度がついたみたい）
　30歳まであっという間で──あっさりと31歳になった気がします。
（いや、これはきっと仕事が忙しいからね。うん）
　30歳になるまでの１年間で、色々なことがありました。
　内紛続きの所属楽団を辞めて、ソリストとして歩み出した時が人生の転機だった気がします。
　食べていけるのか葛藤はありましたが、幸い仕事に恵まれなんとかやっていけています。
　この前も大阪のコンサートに客演で行ってきたところでした。
（今日も本当は休みを入れたくなかったんだけど）
　スケジュール調整で今日から1週間、遅めの夏休みになってしまったのでした。

　寝子島総合病院勤務の内科医として働き詰めの毎日を送る深倉理紗子も、お盆明けの今日はお休みを取っていました。
　中学以来の親友の真瞭も休みだと知って誕生日を祝おうと声をかけると、真瞭の芸大時代からの親友、由良佳蓮（ゆら・かれん）も来られるとのことで、一緒に祝うことになったのでした。
　佳蓮とはお花見の時、海浜公園のライブでいきなり真瞭にステージ演奏に参加させられて引き合わされたというか。
　突然のことに気の弱い理紗子は大いに焦ったものでしたが。
　どうにか演奏を終えた時には、佳蓮とも昔からの友人のような雰囲気になっていたのでした。
　今日は佳蓮の息子の宗谷（そうや）も一緒です。

　四人は寝子ヶ浜海岸のビーチにシートを敷いて、水着姿で日光浴していました。
　ブルーのビキニ姿の真瞭の右隣には、エメラルドグリーンのビキニを着た、りさちんこと理紗子。
　左隣にはハイレグの赤いワンピース水着の佳蓮。
（30歳過ぎてビキニなんて恥ずかしいな……と思ったけど）
　真瞭は思います。
（こうしているとなんかどうでもよくなった。今が楽しければそれでいいじゃない）

「りさこ、あそぼう」
　声をかけられ、理紗子は宗谷君に付き合うことにしました。
　ウォータープルーフの日焼け止めは既にくまなく塗ってあります。
　宗谷は理紗子がお気に入りのようで、いろんなところに一緒に行きたがるのです。
「そこの彼女、冷たいジュースでもどう？」
　宗谷を追いかけて浜辺を歩いているとナンパされましたが、そのたびに、
「りさこはオレのカノジョだぞ」　
　と言って追い払ってくれるのでした。
（子持ちだと思われてるわね……）
　ありがたいような複雑なような。
　
「そろそろ戻ろうか」
　そんなことをしているうちに、遊び疲れた宗谷が眠そうにしだしたので、理紗子は二人の待っている砂浜へ戻りました。　
「おかえり」
「宗谷、眠そうね。少し寝なさい」
　すでに日光浴していた真瞭と佳蓮がそう言って。
　理紗子も真瞭の傍らで仰向けになって寝そべりました。
　宗谷は寝ころんだと思うと寝息を立て始め。
　声を潜めて女三人で話を始めます。
（女三人寄れば姦しい、というけれど）
　互いに会うのが何カ月ぶりかなので、声を潜めてとは言え話は尽きることなく盛り上がったのでした。

　真瞭の仕事の話が一段落したところで、理紗子はふと思い出したように言いました。
「まーちゃん、一足先に31歳のお誕生日おめでとう」
「おめでとう！」
　佳蓮もお祝いを述べ。
「ありがとう。なんだかあっという間だったわね。りさちんの誕生日もお祝いするから、ちゃんと休みを取ってね」
　真瞭がそう答えると、眠っていたはずの宗谷がむくりと起き上がりました。
「オレもおいわいする！」
「あら宗谷、起きてたの？」
　笑いが起き、女三人のおしゃべりタイムは一旦終了となったのでした。

　その後、着替えて海岸を引き上げ。
　四人は予約を入れたレストランで食事したりして楽しく過ごしたのでした。

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