夏の！　まとめてハッピーバースデー♪　７月から９月まで☆｜リアクション

夏の！　まとめてハッピーバースデー♪　７月から９月まで☆

　７月７日は、倉前七瀬の誕生日。
（２０代半ばとなるとさほど嬉しいわけでもないですが）
　そんなことを思いつつも、ウォルター・Bと約束して一緒にお出かけしました。

　とはいえ、特別なことはせず、2人並んで歩くだけのなんてことないお散歩のつもりでしたが。
「今日はここにしようか」
　そう言ってウォルターが選んでくれた店を二度見して、七瀬は思います。
（えっ？　いつもよりちょっとリッチ……ですよね？）
　リッチすぎるというほどではありませんが、誕生日を意識してくれているのでしょうか。

「お誕生日おめでとう、倉前。好きなもの頼んでいいよぉ」
「ありがとうございます！」
　メニューを広げ注文を済ませると、七瀬はつぶやきました。
「ついに誕生日を迎えて年を取ったわけですが、何か変わったかと聞かれたら「何も変わってない」ですよね。自分ではよくわかりません」
「まあ、そうだよねぇ」
「大人になれているんでしょうか、僕は」
　つい聞いてしまい、ウォルターの微笑に慌てて言葉を継ぐ七瀬。
「なんて、ウォルターさんに聞いてもわからないですよね。僕は今までどおり、僕らしく。年を重ねていきたいです」
「うん、そのままでいいと思うよぉ。ところでこれ、プレゼント」

　ウォルターが差し出した包みに、七瀬は目を輝かせました。
「貰っていいんですか？」
「ああ、そんなに高価なものじゃないよぉ。ただ、持ち歩いてもらえばと思って」
（ウォルターさんから貰えるのなら、その辺の石ころでも嬉しいです）
　そう思いつつもわくわくしながら包みを開けると。
　文庫本が何冊か入るくらいのサイズのポーチが出てきました。
「Nanase.K……僕の名前が入ってますね！　中には……絆創膏に、笛……？」
「災害用ポーチなんだ。中身は最低限のものを見繕ったけど、好みの本とか入れたいだろうからカスタマイズしてみて」
「そうなんですね！　ありがとうございます。大切にしますね」
「ちなみに僕のとお揃いだよ。使わずに済むのが一番いいんだけどねぇ」　

（僕を守るために、考えてくれたんですね。お揃い……嬉しいです）　
　心がほっこり温かくなるのを感じながら、七瀬はいつものように伝えます。
「ウォルターさん、これからも仲良くしてくださいね？」
　何度目になるかわからない言葉だけど、ちゃんと言葉にしたい。
「ああ、よろしくねぇ」
　笑顔でウォルターが答えたところに注文の料理が届き。
「いただきます」
　二人は食事を始めるのでした。

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