ある晴れた日のぶどう狩り｜リアクション

ある晴れた日のぶどう狩り

　朝永真深はクラスで仲のいい子たちと一緒にぶどう狩りに出かけていた。秋晴れの過ごしやすい天気で、この前まで酷暑だったのが嘘のようだ。真深は同じクラスで親友の長島ゆかりと一緒に、いろいろなぶどうを取りまくることにした。他のクラスの子たちからは、真深とゆかりがあんまり仲がいいので「夫婦」と言われることが多い。そのたびに、「いや、そんなんじゃないってば」と否定はするものの、とても仲がいいのは事実なので、もしかしたら外からはそう見えても仕方がないのかもしれないとも思う。

　農家の人の説明を聞き終わってから、３０分間のぶどう狩りが始まる。最初は巨峰の畑へ。巨峰は１粒が思いっきり大きくてジューシーだ。もちろん味は美味しい。４口ほど食べた後、持ち帰り用に１房ゲットする。
　次に狙うのは高級シャインマスカット。味はみずみずしくて甘かった。その次に粒が小さめのデラウェア。シャインマスカットもデラウェアも最高の味だ。
「ぶどうっていくら食べても飽きないよね」
「たくさん食べられていいよね」
　ゆかりも同意する。

「次は何にしようかな」
「これ、ネコメゴールドだって」
　ゆかりの声に、近くのぶどう畑を見た。
「ネコメゴールドって一体？　聞いたことのない品種ね」
「あっちにはニャニャパールもあるよ」
「珍しいのもあるのね。とりあえずこれらも試してみよう」
　真深はネコメゴールドを１粒口に入れる。
「あ、これクセ強いけど、あたしは好みだな。カーリーは？」
「うーん、私はちょっと苦手かも」
「じゃああたしに頂戴」
　ゆかりの分も食べて、次はニャニャパールの畑へ移動する。農家の人の説明を思い出しつつ、ぶどうに手を伸ばした。
「これは好きかな」
「私も好き。お土産ショップにこの品種のお菓子やジャムがあれば買って帰りたいな」
　ニャニャパールはゆかりの好みに合ったようで何よりである。美味しいと思うものが共有できてよかった、心からそう思った。

　それから他のクラスの子たちとも集めてきたぶどうを分け合って、食べて、おなかを満たした。長いと思っていた３０分間は、いつの間にか終わりを告げていた。
「３０分なんて短すぎる。３時間くらいはいいでしょ？」
　購入したタッパーにシャインマスカットを詰めながら言う真深を見て、ゆかりがふふっと微笑む。
「真深、また一緒に来よう？」
「うん。カーリー、帰る前にお土産ショップに行かない？」
「ニャニャパール？」
「そう。ジャムや何か買って帰ろうよ」

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