給食食べよ！｜リアクション

給食食べよ！

マタ大女子バスケ部「スカーレットキャッツ」のレギュラーに食い込んだ羽生碧南は練習や試合で忙しい。
もちろん大学の授業も手加減してくれない。
その日は休みで予定もなかった。恋人の鷹取洋二からのメッセージでとあるイベントの存在を知ったのだが。
「給食フェス？　へえ、面白そう」
　デートのお誘いだったので、受けることにした。
（給食なんて何年ぶりかな？　中学校からお弁当だったもんね）
四時間目の後にカレーの良い香りがしてきて、皆がざわざわしながら準備を始めた時のことを思い出す。
洋二と待ち合わせをして、出向くことになった。
イベントスペースの入口で受付をして、食券を購入するのだが。
「いらっしゃいませー。メニューはこちらになります」
　見せてもらったのは懐かしい給食メニュー表プリントだった。
丸文字で『今月の給食』と書かれていた。
「揚げパンとか懐かしい」
　場所に寄るだろうがパン屋にも売っているイメージがない。
「決まった？」
　洋二に問われて、碧南は少し考えて、
「カレーときな粉揚げパン、唐揚げ、イチゴ味のニャルメーク！　洋二さんは？」
「そうだな……僕はミートスパゲティと砂糖揚げパン、ニャルメークはメロン味。あの頃の味が再現されてるとしたら興味があるねぇ」
　お盆を渡されて、それぞれの食券を手にそれぞれの料理を配っている列に並ぶ。
（懐かしい光景）
　白衣にマスク姿の給食当番役のスタッフが銀色の鍋から配っている。まさに給食配食中という感じだ。
　それから二人で合流して、席に着く。
教室風の食事スペース、机の上に刻まれた落書きを見て思わず笑みがこぼれる。
「これも懐かしい」
　誰もが一度はやるのではないだろうか。
　洋二もうんうんと頷いている。
「え、なんか大盛り？」
　洋二のミートスパゲティは二食分あるような気がする。
「給食当番が、『大盛りにする？』って聞いていたのが懐かしくてつい応じちゃったんだよねぇ」
　気持ちは分かる気がする。
「それじゃ、いただきます」
　スプーンですくって、カレーとご飯を口に運ぶ。
「んー！」
給食で出てきたカレーってこんな感じだったと、味でも懐かしく思う。
（なんで家のカレーとちょっと違うんだろ？）
なんとも懐かしい味である。
小学校卒業してまだ7年ぐらいしか経ってないはず。それがこんなに懐かしく思うなんて。
（はっ？　こんなこと思うのって、もしかして年取った？）
慌てて頭を振る。
「洋二さん、一口交換しない？」
　そんな風に洋二とのんびり過ごした。

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