IMOFES NEKOJIMA｜リアクション

IMOFES NEKOJIMA

　秋晴れの澄んだ青空の下。梓智依子は娘の楓と、祖父母と一緒に『IMOFES NEKOJIMA』というイベントへ行くことになった。
　さつまいもスイーツ大集合、色々な甘味をこの場所で味わえるのだ。
「どうぞ、お立ちより下さい～」
　特設イベント広場にバルーンのアーチがかかっていて、スタッフが呼び込みをしている。呼び込みをせずとも、大盛況のようだ。
「わあ～」
　手を引いた楓がサツマイモのスイーツに目を輝かせる。それぞれの店がテントを張り、冷蔵のショーケースを設置していて生クリームを使った生菓子も並んでいるようだ。
　どのスイーツも美味しそうだ。非常に楓の好奇心を刺激するようで、
「ママ、あれなんだろ！？」
　突撃しそうなのを何とか宥めて抑えたりする。
「行ってみよ、ママ」
「ちょっと待ってね？」
　そんな楓を窘めつつ、手を引いてまずは「全国焼き芋食べ比べセット」というのを買った。
「おお、さつまいもと聞いてたが、オシャレだな」
　と、祖父。
「本当ねぇ。何食べたい？」
　祖母が楓に優しく問いかける。
「かえで、プリンがいい」
　来る前からさつまいもプリンがあるのは知っていたので、即答だった。
「おばあちゃん、おじいちゃんは？」
　楓に問われ、二人は微笑み合う。
「さて、どうしようかねぇ」
　祖父は大学芋で、祖母はたい焼きと和菓子系を選んでいた。
「ママは？」
　自分の分を後回しにしていた智依子は楓の嬉しそうな表情に笑った。
「そうね、じゃあママは」
「かえでが当てる！」
　いつの間にかクイズになっていたようだ。少し考えて、
「ヒントある？」
　そう聞かれて智依子は考える振り。
「さつまいもの、四文字ね」
　指で四を示す。
　入口でもらったチラシをじっと見て、考える。四文字はワッフル、ブリュレ、シェイクだ。
「えっと……」
「最初の文字は、ブ」
「さつまいものブリュレだ！」
「正解」
「やった。じゃあ、買おう！」
　それから適当なテーブルに落ち着いて一緒に食べる。
　それぞれのスイーツを分け合ったりして食べた後、全国焼き芋食べ比べセットに手を伸ばす。
　智依子はほくほくとした食感の焼き芋が好きだけど、楓はねっとり派。祖父はねっとり派で、祖母はほくほく派。見事に派閥が分かれた。
「美味しかった～」
　楓のそんな感想で、イベントが楽しいものになったと確信した。
（またイベントがあったら連れて来たいわね）

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