IMOFES NEKOJIMA｜リアクション

IMOFES NEKOJIMA

　仙籐蒼は姉の仙籐紫と共に、大観覧車近くの特設会場で行われているイモフェス、『IMOFES NEKOJIMA』に来ていた。
　それぞれの店がテントを張り、冷蔵のショーケースを設置している。さつまいもスイーツがこれでもかと並んでいる。
「凄い、目移りしちゃうね。えーと」
　さっそく蒼がスイーツを選び始めた。
「さつまいも大福？　そんなのあるんだ！　お姉ちゃん、決まった？」
「んー、どれも美味しそうで、何にしたらいいか迷うわ」
「だねー」
　蒼は迷いながらも、手早くスイーツを選んで行く。
　さつまいも羊羹、さつまいも大福、さつまいもサブレ、さつまいもたい焼きの四つだ。和菓子系でまとめてみた。
「お姉ちゃん、まだ迷ってる？」
「ええ、でも」
　紫は少し考えて、さつまいもジェラート、スイートポテト、さつまいもワッフルの三つを選んだ。
　姉妹で和菓子系と洋菓子系で分かれたのでバランスが良さそうだ。
　近くの飲食スペースに座って、それぞれのスイーツを楽しむことに。
「まずは、絶対これ！」
　蒼が手のひらにさつまいも大福を乗せて、紫に見せる。
「さっき言ってたわね」
「二個あるから、食べよ」
　蒼一押しの大福を二人で頬張る。
　蒼が目を輝かせる。
「あ、生クリーム？　さつまいもクリームと二層になってるのね」
「冷たい。ちょっと凍ってるのかしら」
　紫がそう呟いて、お互い目線を合わせて笑い合う。クリーム大福だったようだ。
「お姉ちゃんの方もめっちゃ美味しそう」
「今日は暑いから、冷たいのが美味しいわね」
「ん？　てことは」
　蒼がワッフルとジェラードを交互に見る。
「ねえ、これ一緒に食べてみない？　カフェのスイーツみたいに盛り付け出来そう」
　ワッフルにジェラートを乗せると、とろりと溶けて、口に運ぶと滑らかな食感がとても美味しかった。
「蒼、こんなお洒落なイベントじゃなかったけど、子供会の芋掘りに参加したの覚えてる？」
「ああ、芋掘りしたよねー。お姉ちゃんが虫に驚いて悲鳴あげてさ」
「うん。蒼が踏みそうになって、叫んだから私も一緒に声を上げたわよね」
「……う、そういえばそうでした。あははっ」
　紫十二歳、蒼が八歳の時だった。手のひらサイズの虫はかなり怖かった思い出だ。
「あの時はさ、お姉ちゃんばっかり大きい芋を掘ってて、逆に私は小さい芋しか掘れなくて、ムキになってたんだよねぇ」
「さつまいもって、蔓が細い方が大きなさつまいもになってる可能性が高いのよ」
「え！？　じゃあ、お姉ちゃん、計算して掘ってたの！？」
「授業でたまたま教えてもらったから知ってたの」
「ずるい～。太い蔓を頑張って引っ張ってたのに！」
「蒼、わざと太い蔓を掘ってたの？」
「当たり前！　だって太い方が大きいって思うでしょ？」
　蒼はそう言いつつ、羊かんを一口。
「ん、これ美味しい」
「うん、甘さが丁度良いわね」
　当時の真相が分かりつつも、懐かしい思い出だ。
　その時は掘るだけだったが、今はスイーツを食べ比べ。お洒落度が上がっている。
（またお姉ちゃんとイベント行きたいなー）
　なんだかすごく楽しい。

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