IMOFES NEKOJIMA｜リアクション

IMOFES NEKOJIMA

　日曜日。
　その日、楡宮遠海が所属しているガールズバンド「衝動少女」の練習だった。
　午前中に始まった練習は、いい感じで熱が入ったので気が付いたらもう十四時過ぎだった。
　練習に集中し過ぎて空腹を感じなかったが、
「さすがにお腹がすいた」
　遠海が腹を押さえて言うと、メンバー全員、頷いたので気持ちは同じのようだ。
　シーサイドタウンで昼食を取ろうという話になり、調べたところ、丁度大観覧車の近くで『IMOFES NEKOJIMA』なる企画が行われているとのこと。
「ここいこっ！」
　遠海は検索していたスマホの画面を見せる。
「へ？　『IMOFES NEKOJIMA』？」
　見せられたリーダーの星野アカリは一瞬、きょとんとしたものの、イベント詳細を読んで苦笑を浮かべた。
「良いかもね、ていうか絶対行きたいんでしょ？」
「もちろん！」
　イベント会場に移動して、皆で好きなものを頼んだのだが。
「おいしそ～。プリンと、ワッフル、たい焼きも気になるなぁ」
　アカリがそういうと別のメンバーが少し驚いたように、
「アカリ、今日はめっちゃお腹空いてる？」
「空いてるかも」
「遠海と良い勝負かもね。どうするか決まった？」
　メンバーに問われた遠海は頷いた。
「私はもちろん。全国焼き芋食べ比べセット、さつまいもプリン、さつまいもブリュレ、スイートポテト、さつまいもたい焼き、さつまいもワッフル、さつまいもジェラート、さつまいもシェイク、さつまいもポタージュで！」
「全部じゃない！？」
　メンバーの声が重なった瞬間だった。
「全部美味しそうだし！」
　すべてのメニューを受け取り、皆で飲食スペースへ移動したのだが、注目の的だった。
「それじゃ、いただきます」
　遠海はすっかり目の前のスイーツに心を奪われている。
　まずはスプーンでプリンを山盛りすくって、口の中へ。こぼすこともなく一口で食べられた。次にシンプル焼き芋を一口がぶり。唇についたさつまいものかけらを流れるような動きで拭って、もう一口。
「ん～。どれも美味しい！」
　見た目は「鎌倉の名家のお嬢様」然とした清楚なスレンダー美人だが、規格外の食欲魔人、食べ方は上品なので汚らしさは一切感じない。
「おいしい～。はあ、幸せぇ～」
　周囲の人の食欲が上昇したとかなんとか。

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