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ある迷宮で手繋ぎを・燦
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ヨーロッパの大聖堂のような空間――迷宮に飛ばされた
浅見 柚乃
は、後輩の
霧生 愛
と手を繋いでいた。
(冗談じゃない、なんでこの女と手を繋がなきゃいけないの?)
そう思ったのは愛もだったようで、ぱっと手を離す。
「先輩、後ろ!」
愛の声に振り向くと、そこにいたのは細長い奇妙な人影だった。足元にある影がそのまま立って動き出したように見える。それは影の中から生み出した手を伸ばしてきていた。まるで、柚乃と愛を引き離すように。
「こっちです」
愛に手を引かれ、愛ではなく影と距離ができる……と、黒い人影は消えていた。
「いつまで繋いでいるのよ」
再びぱっと手を離すと、ぼんやりと黒い人影が現れ始める。
「まさか……」
おそるおそるもう一度愛と手を繋ぐと、やはり黒い影は消えてしまった。
「最悪。そういうこと……」
いち早く察した愛が、諦めたようにため息をつく。ため息をつきたいのは柚乃の方だ。しかし、手を繋いでいないと無事に脱出できそうにない。柚乃も諦めて、仕方ないと繋いだ手を受け入れる。
(これは一時的な緊急避難よ)
そう、自分に言い聞かせて。
そうやって歩き出した柚乃たちが遭遇したのは、迷宮の罠たちだった。
「光によって作られる自分の影を、壁のレリーフと同じ形に……って」
そこまで読み見上げて、柚乃は先の言葉を失った。指定されたレリーフの形を見たからだ。そのレリーフの形は、2人で抱き合っている姿。
「なぜ私たちが抱き合わなきゃならないのよ?」
「それはこちらの科白です」
しかし、そうしないとこの謎の世界から元の世界へは戻れない。何よりこの場所から先に進むことができない。結局、お互いに我慢して抱き合う、それしかないのだ。なるべく何も考えないようにして、柚乃は愛と抱き合った。身体には互いの鼓動と熱が伝わってくる。その瞬間、感じたのは戸惑いだった。
(なぜ……こうしていると心地よく感じるの? 私は彼女のことが大嫌いなのに!)
あえて背けていた目線をこっそりと愛に向ける。どうやら愛も同じように戸惑っている……そんな風に見えた。カチリと音が鳴って、扉が勝手に開く。さっさと柚乃は身を離した。2人とも勢いで手が離れそうになって、それはダメだとどちらからともなく繋ぎ直す。
(一刻も早く脱出しないと……)
愛の脳裏に、卒業式の日の奇妙な現象が思い出される。花びらを手にした途端に見えた、いくつもの自分の将来の姿。その中には、愛と柚乃が愛し合っているものもあった。 冗談はやめてほしい。愛は柚乃に嫌われていると知っている。正直に言えば、愛自身も柚乃のことが苦手だ。むしろ苦手どころか、いよいよ限界に達しつつある。
それなのに、この迷宮では手を繋がないと脱出できないらしい。手を離すと近づいてくる黒い人影。それを見たときの胸のざわつきは忘れられない。何かよくないことが起こりそうな気がして、仕方なく、手を繋ぐのだ。互いに嫌い合っているとはいえ、ここは目をつぶって行動するしかない。
床が光る順番を覚えて、その通りに踏む。言葉にすれば簡単だけれど、それは息の合ったペアの場合に他ならない。しかし、愛と柚乃は「息の合ったペア」とは程遠い、互いに嫌い合う仲だ。
「同じ記号や図柄があるのなら、光ったのとは別のところを踏んでもいいんですかね?」
「いいかもしれないけれど、別のところを踏んだから失敗してペナルティ、なんて嫌よ」
「それもそうですね。光ったところを踏みましょう」
ふと愛は気づく。そうなると、ずっと手を繋いでいるのは難しそうだ。手を繋いでいないと、あの黒い影がやってくる。だからといって、ここでこのまま手を繋いでただ時が過ぎ去るのを待っているわけにもいかない。一瞬離して、すぐに繋ぐしかなさそうだ。それに柚乃も気づいているようで、視線が合う。
「これはバスケの試合です」
「そうね、それならずっと手を繋いでいなくていいものね」
床がパッ、パッと光る。光り終わって、踏まれるのを待っている。2人はぱっと手を離して、順番通りに光った場所を踏みに行く。視界の端で黒い影がゆらゆら現れるが、気にしない。先に踏み終わった愛は、柚乃の背に迫る黒い影を見た。
「先輩っ」
愛の声と柚乃が最後の床を踏むのは同時で、すぐに柚乃は愛と距離を縮めて手を伸ばす。再び2人の手が繋がれると、黒い影はぼんやりと淡くなり、消えた。
(息の合ったペアとは程遠い。本当に?)
愛はそんな自問自答をしてしまう。これはバスケの試合だ、と互いに思うようにしたのが良かったのだろうか。呆然とする2人の目の前で、扉が開いた。
次の部屋には筋肉隆々なサイクロプスの像があった。いた、とも言える。巨体の割に素早いそれは、愛と柚乃の前にいて、簡単には逃がしてくれなさそうだ。仮に愛1人だけでいたなら逃げられたかもしれない。しかし、手を繋いだ状態ではなかなかうまくいかなかった。
「浅見先輩、提案なんですが」
「私もよ」
「手を離しませんか?」
ずっとではなく、サイクロプスを抜いて距離を置くまでのこと。長く手を離したときのデメリットは記憶に新しい。
「喜んで」
すぐに柚乃の手が離れる。間髪入れず2人は全力で走り出した。柚乃は右から、愛は左から、サイクロプスを抜き去って手を繋ぎ直した。そのまま走って距離を稼ぐ。後ろの方から状況に気づいたようにうなり声と地響きが聞こえる。そのときには、愛と柚乃はこの部屋の扉近くまで来ていた。扉はひとりでに開き、2人が通ると閉まる。サイクロプスの足音は扉近くまで来ていたが、閉まった扉に諦めたのか遠のいていった。
息を整えながら、愛と柚乃は再び困惑する。とくに相談をしたわけでもないのに、息の合ったプレイだった。
歩き続けて、いつの間にか暗い部屋に迷い込んでいた。暗さは尋常でなく、手を繋いでいる愛の顔すら見えない。本当に手を繋いでいるのが愛なのかと、不安さえ生じてくる。
「霧生」
「なんですか? 柚乃先輩」
「なんでもないわ」
「なんですかそれ」
呆れたような声が隣から聞こえてくる。間違いなく本人のものであると確信して、柚乃は遠くの光を目を凝らして見つめた。いくつかある光の中には、出口があるのだろうか。簡単に抜け出させてくれる世界でないのは黒い影を見たときからわかっている。どれかが正解で、他は偽物かもしれない。むしろ全てが偽物? そんな気さえした。
お互いに手を握りながら、柚乃たちはある1つの光へ向かって歩いた。
ようやく元の世界に戻れた。時間も迷宮に迷い込む前と変わらず、秋晴れの朝のさわやかな空気が肌に触れる。2人で安堵の息をついて、思い出したように慌てて手を離す。
そういえば今日は、部活動のために休日登校したのだった。誰か知り合いに見られてないといいのだが。特に言葉を交わすこともなく、さっさと柚乃は部室へ向かってしまった。愛はその場でひとりになる。
最初はあれだけ嫌だった柚乃との手繋ぎが、時が経つにつれ違和感を失っていた。どうしてだか、先ほど手を離したときには名残惜しさまでも感じてしまっていた。
「まさか、私は浅見先輩のことを……嘘よ……」
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あとがき
担当マスター:
鳴葉ゆらゆ
ファンレターはマスターページから!
シナリオにご参加いただき、ありがとうございました。
鳴葉ゆらゆです。
手を繋がなければ脱出できない迷宮はいかがだったでしょうか。
楽しんでいただければ幸いです。
また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
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担当ゲームマスター
鳴葉ゆらゆ
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
冒険
ゲーム
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年09月22日
参加申し込みの期限
2025年09月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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