まとめてハッピーバースデー♪　４月から６月まで☆｜リアクション

まとめてハッピーバースデー♪　４月から６月まで☆

（6月に理緒ちゃんは20歳を迎える）
　佐和崎紗月は、恋人の初瀬川理緒の誕生日のプレゼントを迷っていました。
「何がいいかな……」
　と考えながら雑誌をめくっていると、透明感のある涼やかなアクセサリーが目に留まりました。
（手作りのシーグラスのアクセサリー！　これがいいな）
　シーグラスは海岸で見つけることができるガラス片です。
　海を漂流するうちに、角が取れて丸くなり、磨りガラスのような質感になるのが特徴です。
　アクセサリーはどこででも買えるけれど、シーグラスは天然に近い、世界に一つしかないものと言えるかもしれません。
（理緒ちゃんの分と、私の分とお揃いで）

「あれ、紗月何してるの？」
「なんでもないよ。それより……」
　紗月は理緒に見つからないようこっそりと、シーグラスのネックレスを作りました。

　
　理緒の誕生日当日。
　ちょうど二つの雑誌のグラビア撮影の日でした。
　午前中の方は理緒単体の仕事、午後は別の雑誌で、紗月と一緒の仕事です。

（今日はあたしの20歳の誕生日。つまり──酒が飲める年齢になった）
　都内のスタジオに向かいながら、理緒はそんなことを思っていました。
（でも紗月の誕生日は来月末だから、一緒に飲めるのはまだ先かあ）
　午前は室内のセットで撮影でした。
　ランジェリーや水着姿でベッドの上に寝っ転がって、カメラマンの注文に応じてポーズをとります。
（水着なら泳ぎたいなあ。午後の撮影は紗月とプールだけど、泳ぐのは無理かなあ）
　そんなことを思いながら午前中の撮影は終了。

　紗月は同じスタジオの別室に午後の撮影の２時間前に入って、メイクなどの身支度をしていました。
　バッグの中には綺麗に包装したアクセの箱が入っています。
（理緒ちゃん、喜んでくれるかな？）
　スタッフに誕生日の話をして、ちょっとした準備をしてもらうことにしました。

　
　午後から、理緒と紗月は合流しました。
「理緒ちゃん、おつかれさま」
「紗月もおつかれさま～。今日の撮影は水着で、明日が私服だね。」
　同じスタジオの室内プールへ移動し、理緒はさっきとは別の水着に着替えました。　
　紗月も水着に着替えて撮影に入ります。
　それぞれ単体でセクシーに決めたり、二人で仲睦まじく絡み合ったり。
（やっぱり紗月と絡める撮影は嬉しいな）

　そうこうしているうちにあっという間に夕方になり、今日の撮影は終わりました。
「おつかれさまー！　今日も一日ありがとうございました！」
　理緒は元気よくスタッフにあいさつをしました。
　スタッフにねぎらいと感謝の言葉をかけて更衣室に向かうのがいつものパターンでしたが。
　パーン！
「えっ？」
　急にスタッフがクラッカーを鳴らしました。
　紙吹雪が理緒に降りかかり、何事？　と目を丸くして足を止めると。

「理緒ちゃん、20歳のお誕生日おめでとう」
　そう言って、紗月がプレゼントの包みを差し出しました。
　開いてシーグラスのアクセサリーを見て、理緒は、このところ紗月がなにかこそこそ隠れてやっていた理由を悟ったのでした。
（やだ、これ……とても尊い……！）
　胸がいっぱいになり、理緒は思わず泣きだしそうに……というか勝手に涙がこぼれるのを止められなくなりました。
「やだ……紗月……ありがとう……なんか、涙があふれてとまんないよ……」
「え、理緒ちゃん？　大丈夫？」
　慌てる紗月に微笑んで、理緒はネックレスを胸元に飾ってみました。
「とてもいい感じ」

「理緒ちゃんお誕生日おめでとう！」
　それからスタッフがバースディケーキを運んできてくれて、二人は皆とケーキを食べたのでした。

　ちなみにこの様子は撮影されて、のちにSNSでバズったということです。

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