仲良くなりたい、その13 ＜オーバータイム特別版＞｜リアクション

仲良くなりたい、その13 ＜オーバータイム特別版＞

　星ヶ丘の御洒落なレストランで食事をする、一組の男女の姿があった。
　女性より男性が明らかに若かったが、親子ではない。
　サキリ・デイジーカッターと四十九院鸞の姿であった。

「大学生活はどうかしらぁ？」
　尋ねる鸞に、サキリは答える。
「順調だよ。勉学に（少々物騒で怪しい）アルバイトに、おおむね健全な生活を送っている」
　敬語は使わない。
　今の関係はもう教え子と教師ではないから。

　今でも数々の神魂絡みの事件で戦ってきた高校生時代のことはうっすら覚えている。
「高校時代は実に荒唐無稽な修羅場の連続で充実していたよ」
　ちなみに今でもサキリは刃の付喪神達と一緒に暮らしている。

「四十九院、君の生活の方はどうだい？　君は覚えているだろうか。自分がクローネの分身のような存在であったことを」
　サキリの問いに、鸞は少し俯き、考えるような仕草を見せた。
「……そんなこともあったかもしれないわねぇ」
「昔のことをどう思っている？」
「過去は過去ですわぁ。昔に縛られるなら、こんな風にあなたとお友達付き合いはしていないわよぉ」　
「なるほど」
「でも助けられたことは、感謝していますわぁ」
　サキリも鸞と、対等な人間として友達付き合いをしていきたいと思っている。

　鸞の自分のことをあまり語りたがらないところは変わっていないようだ。
　それでも二人は、少ない言葉で思い出を語り、楽しむのだった。

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