もふもふもふもふ、もっふりもふもふ｜リアクション

もふもふもふもふ、もっふりもふもふ

●猫探しの休日

　とある日曜日。
　月原想花は朝に目を覚まし、出かける準備を整える。整えるといってもベリーショートの髪に櫛を入れて、ロンTワンピとショートパンツ、そしてスニーカーを履いただけ。それでも見た目は『大人びたアンニュイなサイボーグ系美人』なので非常にクールに見える。中身はヘタレでビビりだが、そんな印象はまるで無い。
　自室から出てみると猫鳴館の面々が妙に騒がしかった。

（日曜の朝からこんなに騒がしいなんてどうかしたのかな？）

　話を聞いてみると星ヶ丘の豪邸で飼われているペルシャ猫の『ニャニャ美ちゃん』が迷子になったらしい。探して見つけたら大金が貰えるかもしれないと盛り上がっている。

（捕らぬ狸の皮算用……）

　想花は用事があるので適当に聞き流しながら館を出た。目的地は旧市街の古本屋。なにか掘り出し物がないかと期待しながら歩を進める。すると途中で妙に毛並みのいい猫がうろついているのを見かけた。このあたりでは見かけたことがないタイプだ。

（もしかして……ニャニャ美ちゃん？）

　スマホでねこったーを開いて確認すると、たしかにそっくり……というかニャニャ美ちゃんそのものだった。迷い猫を放置するわけにもいかず、かといって無策で近づいても逃げられてしまうだろう。ひとまずニャニャ美ちゃんの大好物だというにゃおちゅーるをペットショップで購入。見かけた場所まで戻って探してみると近くの物陰に潜んでいた。

（うまくこっちに来てくれるといいんだけど）

　にゃおちゅーるを取り出してなんとか気を引こうとする。初めは警戒されたように見えたが、大好物に惹かれたのか想花のほうへ寄ってきた。そのまま腕に抱いても特に抵抗されなかった。元々大人しいタイプの猫なのかもしれない。

（しかし星ヶ丘から旧市街までやってくるなんて）

　ねこったーの情報を頼りに星ヶ丘まで足を運ぶと、飼い主に大変感謝された。そのまま帰ろうとしたら飼い主と一緒に写真を撮ることになり、その写真が感謝の文面とともに投稿された。寝子島全体で話題になっていたのか、すごい勢いでバズっていく。

（バズりまくってて怖いんだけど……）

　想花は自分の読モとしてのアカウントに目を向ける。写真の人物が想花だと読者も気づき始めたようで、さらにバズっていく。

（ニャニャ美ちゃんが見つかったのはよかったけど、しばらくは大人しくしていよう）

　そう心に誓って、今度こそ帰路に着いた。

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