もふもふもふもふ、もっふりもふもふ｜リアクション

もふもふもふもふ、もっふりもふもふ

●捜索大作戦

　倉前七瀬はねこったーで『ニャニャ美』という迷い猫のことを知った。微力ながら捜索に協力したいと思い、外にでる。

（散歩をするので、猫が行きそうな道や場所はなんとなく分かります……たぶん）

　生き物は好きだが動物は飼った経験がないので自信はない。人手は多い方がいいのでウォルター・Bに協力を仰ぐためメッセージを送る。

『猫のニャニャ美ちゃんを探すので、協力してくれませんか』
『あの猫のことかい？　もちろん手伝うよ』

　彼も迷い猫のことは知っていたようだ。ねこったーによると旧市街で目撃情報があったらしいので、ウォルターとそこで合流した。

「星ヶ丘の子が旧市街まで来るなんて、ニャニャ美ちゃんって結構度胸のある子なんでしょうか？」
「そうかもしれないねえ」

　シーサイドタウンを通り抜け、猫又川も渡ったと考えると結構な距離を移動している。この行動力だと予想外な場所に隠れているかもしれない。七瀬はウォルターと手分けして、旧市街で猫をよく見かける場所を探す。時折電話で連絡を取りながらお互いの状況を確認し合う。

「僕のほうはハズレでしたー。ウォルターさんはどうでしたか？」
「こっちもいなかったよ」
「じゃあ、次のポイントに向かいますね」

　七瀬はニャニャ美ちゃんを探す傍ら、道中で見かけた猫たちをもふっていた。寝子島の猫たちは人に慣れてるので、だいたい素直にもふらせてくれる。

「もふもふもふもふ。うわぁ、かわいいですねぇ！」

　とてももふもふし甲斐のありそうな猫を前にして、七瀬はご満悦だ。

「ところで、ニャニャ美ちゃんって子を探しとるんですが、キミは知りません？」

　尋ねられた猫は低い唸り声をあげた。猫の言葉は分からないが、知らないというニュアンスをなんとなく感じとった。そうして捜索は続いたが見つからず、最初に合流した地点に戻ってきた。いったいどこにいるのだろうかと頭を悩ませていると、ふと一匹の猫が目の前を通り過ぎる。

「あっ」

　七瀬とウォルターが同時に声をあげた。間違いなくニャニャ美ちゃんだった。おそらく旧市街のなかで何度もすれ違ったのだろう。丁寧に保護すると、２人でニャニャ美ちゃんの無事を喜んだ。

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