青の庭園｜リアクション

青の庭園

「実際に見ると本当に凄いですねぇ……」

　そう言葉を漏らした巫部紫苑は青く広がるネモフィラ畑を前に、散歩を楽しんでいた。
　今日は日差しが少し強いため、念の為にと日傘を差して歩調を少しゆっくりめにして視界いっぱいに広がる青の花畑を眺めていく。
　ネモフィラは香りが弱いためあまり匂いの表現はないのだが、一面を包みこんでいるせいかほんのりと甘い香りがしていた。

「皆さん、本当に楽しそうです」

　ネモフィラ畑には紫苑以外にも、テレビ以外を見てやってきた親子やカップル等が同じようにネモフィラの満開を楽しんでおり、その様子は上空を飛ぶ遊覧ヘリコプターに乗っている人々も見えている。
　遊覧ヘリコプターでは様々な人が１０分程度乗り継いでいるようで、人気のようだ。紫苑も乗ろうかと考えたが、それよりも優先するべき事項があったのでそちらへと向かった。

　紫苑の目的はこのネモフィラ畑に合わせて作られたネモフィラアイスとネモフィラソフト。
　定番フレーバーも並んでいるというが、やはり現場でしか食べられない特別なアイスがあるのだから食べざるを得ない。
　店の説明ではミント風味がする、というが実際に口にしないことにはその想像はなかなか膨らませられない。
　ということで、紫苑はこれ当然と言わんばかりにネモフィラアイスとネモフィラソフトを１つずつ注文し、それぞれを片手に持って小さな席へと向かった。

「ふむふむ……ソフトはほんのりミント、アイスはがっつりミントなんですね」

　柔らかいソフトクリームはすぐに溶けるからかミントを薄めに、アイスの方は少し強めなミントにバニラが上乗せされたような不思議な味がする。
　ミントが苦手な人には少し難しい商品だったが、紫苑にとっては良い味を楽しめる品だったようで、ぺろりとすぐに平らげてしまった。
　今日は温かさも相まって、アイスを食べるとすっと体の中が冷えていくのがわかる。だけどまだまだ足りない気がした紫苑は、アイスショップのアイスを網羅する勢いで様々なフレーバーを楽しみ始めていた。

「美味しい……」

　青く広がるネモフィラ畑を眺めながら、アイスを堪能していく紫苑。
　日が暮れる間際までたっぷりと楽しんでいた。

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