ごはんのおともフェア｜リアクション

ごはんのおともフェア

　猫鳴館の住人達がざわめいたビック（かもしれない）ニュース、それは「ごはんのおともフェア」だった。寝子島シーサイドアウトレットで開催されるそれは、『会場に全国各地のおいしいごはんのおともが勢ぞろい』というキャッチコピーがついている。
　絶品の品々をお手ごろ価格で試食、購入することができる企画らしい。
　猫鳴館の住人達は日曜日に突撃するという話をしていたのだが、もちろん月原想花も成り行きで付き合うことになった。
　何も用事がなかったので、当たり前のように連れて行かれたわけだが、
（まあ、こういうイベントは嫌いじゃないし）
　しっかり茶碗と箸を持参した。
　ご飯をよそってくれるテントに少し並んで待つと、担当のおばちゃんが炊飯器から熱々のご飯を装ってくれた。
「雑穀米と麦飯もあるから、二杯目よろしくねー」
　健康志向もあるらしい。
「おお」
　ごはんのおともスタッフ達は忙しそうに歩き回っている。いくつものテントでは、それぞれご飯に合うおかずが調理されていた。
　いい香りが漂っている。
「まずは」
いくらしょうゆ漬けのテントへと向かった。
「はい、いらっしゃい」
　ホカホカの白いご飯の上にたっぷりとかけてもらう。
「いただきます」
箸で白米といくらをすくって食べてみる。
「んっ」
　暖かい白米と冷たいいくらがぷちっと弾ける。
（これは美味しい。イベントでこんな新鮮ないくら丼にありつけるなんて）
　お腹がすいていたのもあり、ほぼ一気に夢中でかきこんでしまった。
　最後の米粒を口に運んで、ふうっと息をついた。
「あー、満足」
　満足感が半端ない。
「さて……」
「はい、お嬢ちゃん。二杯目ねっ」
　おばちゃんが炊飯器を抱えて二杯目を配っていたのだが、ばっちり茶碗に白米を盛られてしまった。
「ああ」
　満腹なわけではないが、満足だったのだが。
「そこのおねえちゃん。鮭のほぐしどうだい？」
　近くのテントからおじさんが手を振っている。テントからは焼き鮭の匂いが漂っている。
「あ、はい」
　思わず、茶碗を差し出すと、おじさんは慣れた手つきでご飯に鮭ほぐしを盛ってくれた。
「焼きたてだからね！」
「いただきます」
　塩味が強めで非常にご飯に合う。
「ふう、美味しかった」
　と、ご飯茶碗に何の前触れもなく白米が盛られた。
「！？」
　見えなかった。
「なんで」
　まるでわんこそばだ。
　次の瞬間には卵と醤油が盛られていたり、肉みそや梅干しが盛られていたり、必死に食べて食事を終わらせた時には満腹の上をいっていた。
「はあ……美味しかったけど」
　少しだけポッコリしていたお腹をさする。
気が付いたら結構な量を食べていた。
（うーん。ヤバい）
一応、読モやってるので食べ過ぎには気をつけなければいけないのだ。しばらくの間はダイエットだ。
（ははは……はあ）

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