レッツ！　エクササイズ♪｜リアクション

レッツ！　エクササイズ♪

　1373年11月。
　クリスマスムードの高まる街で、稲積柚春とウォルター・Bはデートを楽しんでいた。
　ケーキの予約のポスターを見ながらウォルターが言う。
「今年はどんなケーキかなぁ？」
「そうだね、ワットは食べたいものある？」
　と、稲積柚春はウォルターをぎゅっと抱きしめる。
「甘いもの……いや、柚春が作ってくれるならなんでも嬉しいよぉ。何を作ってくれるかなぁ」
「僕も料理の腕が認められて嬉しい……んだけど」
　抱きしめる手に力がこもる。
　甘い恋人たちのいちゃつきの光景のようだったが、柚春は冷静に分析していた。
「……太った、よね？　ワット」
「えっ」
　ウォルターの表情を見て、柚春はフォローに入る。
「あ、仕方ないとは思うんだ！　いつも手料理を美味しそうに食べてくれるし、イギリス料理を見かけたら僕に教えるように一緒に食べてくれるし……年齢的にも曲がり角というか、そんな時期だってわかってるよ」
「年齢のことは言わないでよぉ」
「でもこれからクリスマスに忘年会新年会……我慢が難しいイベントもあるから心配で。ちょっとでもワットが健康で格好良いと僕も嬉しいし」
「うん……外食を減らしたいけど、校長は若い先生がたくさん食べる様子を見るのが好きらしくて、校長先生が喜んでくれるのが嬉しくて、ついつい食べすぎちゃうんだよね」
「食べるなとは言わないよ。ワットが取り組みやすいことから一緒に始めてみようよ！」
　
　そんなわけで、柚春とウォルターはまず運動に取り組むことにした。
「毎日はきついだろうから、週３ペースでどうかな？」
　柚春の提案にウォルターは頷いた。
「まあそれくらいなら」
「星ヶ丘駅からエノコロ岬までウォーキングして、そこでストレッチをしよう」
「わかった。柚春が一緒なら続けられそうだよぉ」
　待ち合わせの日時を決めて、計画はスタートした。

　ウォルターはいつも先に来て柚春を待っていた。
（眠いけど……ワットが頑張ってるんだし、僕から言い出したんだから頑張らなきゃ）
　そう思う柚春に、ウォルターが提案する。
「明日は休日だからウォーキングは遅めの時間にしようか？」
　柚春は嬉しそうに答えた。
「あ、それじゃジムなんてどう？　新オープンするジムのチラシを見つけたんだ」
「いいねぇ」
　ジムには最新ゲームのようなシステムがあり、柚春は目を輝かせた。
「ワット、競争しよう！」
「そう言われちゃ負けられないねぇ」

　運動を終え汗を拭きながら柚春はつぶやく。
「楽しくゆるく運動する時間もデートと違っていいかも。会える日も増えたし！」
（それに……意外とワットが真剣に取り組んでいて格好良いな。こういう、決めたら手を抜かないとこ……やっぱり好き）
　うっとりする柚春にウォルターは言う。
「そうだねぇ。でも運動するとおなかが減って、柚春の手料理が食べたくなるんだよなぁ」
「それじゃ、カロリーが少なくておいしい料理を考えてみるね」
　そう言って柚春は、悩ましそうなウォルターに笑顔を向けた。
（僕に出来るのはサポートとスタイルアップかな）
　ウォルターと一緒にスタイルアップできるなら一石二鳥、とやる気が湧いてくるのだった。
　　　

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