レッツ！　エクササイズ♪｜リアクション

レッツ！　エクササイズ♪

　綾辻綾花は、早川珪とデート中見慣れない建物を発見した。
「こんなところにジムができたんですね」
「最近あちこちで見かけるね」
「家から近いから通いやすそうですけど、ジムって行ったことないのでちょっとドキドキします」
　綾花は珪に尋ねてみた。
「珪さんはジムを利用したことありますか？」
「あるように見える？」
　と苦笑され、綾花はちょっと考えたが。
（マッチョな珪さん……）
　マッチョな珪がダンベルを持ち上げる姿をイメージしようとしたが、難しかった。
「……あまりイメージできませんね。ジムじゃなくても、運動はされてるんですか？」
「したほうがいいとはわかってるんだけど……君とこうして歩くのが運動になってるんじゃないかな」
「珪さんは運動しなくても細身で羨ましいですよね。私はちょっとぷにぷにしてるのを気にしてます」
　二の腕をつまんでみせる綾花。
「そんなの気にすることはないよ、ちょうどいいんじゃないかな。運動なら学校で体育もあるだろうし……」
　あまり興味がなさそうな珪だが、綾花はジムの前に掲げられた幟に目を留める。
「体験歓迎、ですって。ちょっと体験してみませんか？」
「今から？」
「珪さんとの食事は美味しくて食べすぎちゃうこともあるので運動はしたいと思ってたんです」
「ジョギングとか？」
「走るのは苦手です……胸が揺れるので」
　一瞬珪の視線が動いたが、そのまま自然に綾花の大きな胸から目を反らした。

　二人はジムに入り、受付に体験を申し込む。
「レンタルのウェアやシューズもありますよ」
　すすめられるままウェアやシューズを借りて、更衣室で一旦別れた。
「お待たせしました」
　しばらくして出てきた綾花は、嬉しそうに珪の服装を見た。
「珪さんのスポーツウェア姿が見られて嬉しいです」
「君の服装も新鮮だね」
　確かに、珪の前でスポーツウェア的なものを着たのは高校の体操着くらいだったかもしれない。

　ジムの中をめずらしそうに見回し、綾花は言った。
「あのエアロバイクとかよさそうですね」
「まずは準備運動だよ」
　コーチの指導に合わせ、二人はストレッチをする。
「僕は体が硬いんだよね……」
「私もですよ。猫みたいに柔らかいといいんですけど」

　二人はコーチに説明を受け、エアロバイクに挑戦してみた。
　最初は軽快に漕いでいた綾花だが、だんだん息が上がってきた。
（最近ねこでん利用が多いので自転車も乗った方が良いのかな）
　運動不足なので疲れるのも早いようだ。
「ちょっと休憩します」
「最初から無理することはないよ。僕も休もうかな」
　綾花と珪は水分を取り一休みした。
　いろんな体型の人たちが運動しているのが目に入る。
「たまにはこういうのもいいね。司書として座り仕事が多いから腰が痛くなったりもするしね」
　そんなことを話す珪を、綾花はじっと見つめた。
「？　どうかした？」
「珪さんは細身の女性とちょっとぷにっとしてる女性とどっちが好きですか？」
「健康ならどっちもいいと思うけど……どっちかというと、ぷにっとしてるほうかな」
　その答えに、安心した様子で綾花は言う。
「私は珪さんが好きなので体形は気にしないです。マッチョになってもぷにっとなっても変わらず愛おしいです」
「……ありがとう」

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