にゃごにゃご！　カードゲームライフ｜リアクション

にゃごにゃご！　カードゲームライフ

◆いざオンラインバトルへ

　佐藤英二は今話題のアプリ『にゃごにゃご』に熱中していた。
　いわゆるデジタルカードゲームで、猫型モンスター『にゃご』のカードを集め、コレクションとして楽しむだけでなく対戦機能も付いている。その楽しみのひとつが『パック剥き』だ。
　このゲームは１パックに１０枚入っている。先ほど引いたパックではレアカード『エンジェルキャット』を引き当てていた。その運に任せて追加でもう１パック開けてみたが、そちらはコモンとアンコモンしか出なかった。

（ラッキーはそこまで続かないか）

　残念に思いつつも、こういう一喜一憂もカードゲームらしさかもしれない。

「でもレアカードも手に入ったことだし、今日はオンラインバトルに明け暮れようかな？」

　デッキ内容は【ホークキャット、スピークキャット、ニードルキャット、トルネードキャット、スノボーキャット、サブマリンキャット、サンキャット、ムーンキャット、メタルドラキャット】の９枚に、さっきの開封で引き当てたレアカード『エンジェルキャット』を加えた構成。属性を偏らせない、全体的にバランスの取れたデッキだ。カードの出す順番で臨機応変に対応できる。
　彼はオンラインバトルの画面を開いて対戦を開始した。

『よろしくお願いします』

　短い挨拶に対して『よろしく！』のスタンプが返ってきた。
　どうやら相手は『つよさ』に比重を置いた攻撃型のデッキのようだ。その分『たいりょく』は低いので倒しやすいものの『すばやさ』で負けているから、こちらのにゃごが先に倒されやすい。特殊能力も組み合わさると、相手のにゃごを止められない。

（強い人とマッチングしたかも……）

　けれど、負けないために策を考えるのもゲームの醍醐味。にゃごを出す順番、特殊能力の使い道など考えることは山ほどある。耐えることを強いられているから、焦って間違えると一瞬で飲まれてしまう。

（よし、今だ！）

　ここしかない、と見極めたタイミングで『エンジェルキャット』を場に出す。このにゃごには「『はやさ』が下がる代わりに一度だけ『たいりょく』を半分回復できる」という特殊能力がある。もともと相手のにゃごのほうが『はやさ』が高いからデメリットにはならない。あとはいつ回復するか、しっかり流れを捉える必要がある。
　相手も押し切れるかと思った盤面で『たいりょく』の高いにゃごが出てきて思考時間が増えている。お互いに紙一重の駆け引きが始まった。互いに長考を繰り返し、その捌き合いを乗り切ったのは英二だった。

『ありがとうございました』

　相手も『GOOD！』のスタンプを返してくれた。相手は火力をどこまでも高め、英二は汎用性とレアカードの特性を活かした対戦だった。

「本当にぎりぎりの勝利だった」

　でも楽しかった。英二は『エンジェルキャット』の画面を見ながら勝利の余韻に浸った。

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