初雪の舞う日に｜リアクション

初雪の舞う日に

　しんしんと雪が降り積もる日。
　梓智依子は娘の楓と共に雪の降る街の中を歩いていた。
　まだそこまで多く積もっていない雪だが、２人の足跡を作るぐらいの薄さには積もっており、真っ白な道を通れば２人分の足跡がついていた。

「ママ、雪だるまがあるよ！」

　楓が指を指したのは、街の所々で見かける小さな雪だるま。
　久しぶりの雪で嬉しくなった町の人々が雪をかき集め、小さな雪だるまを飾っていたようだ。
　そんな光景に楓はハッと『まだ雪だるま作ってなかった！』と思い出したようで、ぐいぐいと智依子の腕を引っ張ってたくさん雪が積もっている場所へ連れて行く。

　公園に向かってみれば、人の姿は少ない。今年一番の雪の日ということもあってか、外に出るより家の中で温まりたい人が多いようだ。
　ここならきっと、雪だるまを作れる。そう考えた智依子は公園に入って、雪を集めて雪玉を作り出す。

「んしょ……」

　見様見真似で、楓も智依子のように雪玉を作ってみるが、楓の場合は下の土も一緒に練り込んでしまうせいかポロポロと雪玉が崩れていく。
　何度も何度も繰り返して頑張ってはみるものの、楓はうまく雪玉を作れずにいた。

「大丈夫？　ママも手伝おうか？」
「や！　かえでがじぶんでつくる！」

　母である智依子の手を借りずに、自分で頑張って雪玉を作ってみたいという楓。
　小さな手に雪をたくさんかき集めては、ぎゅっとおにぎりを作るように握って球体を作る。
　多少悪戦苦闘をしつつも、デコボコの多い雪玉が２つ。雪がそこまで積もっていなかったので、上下重ね合わせて小さな雪だるまが出来上がった。

「できたー！」

　小さな手のひらの上に積み重なった雪だるま。目や鼻は落ちていた木の葉や枝を使い、可愛らしいものとなっていた。
　ちょっと不格好な雪だるまだけれど、これもまた愛らしいもので。思わず智依子は楓の手のひらに乗ったままの雪だるまを写真に収めておいた。

「さ、今度はママも作ろうかな？」
「ママはなにつくるの？？」
「雪だるまは楓が作ったし……うさぎさん？」
「うさぎさんー！」

　こうして、親子の雪の日は過ぎていく。
　可愛い雪だるまと、愛らしい雪うさぎを携えて。

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