放課後のスタート！｜リアクション

放課後のスタート！

　部活の勧誘も終わり、中倉琉歌の所属する陸上部にも今年も新入生が何人か入ってきた。
　今日は新入部員を迎えての初めての練習だ。

「中倉さん、初めての子たちに色々レクチャーしてくれる？」
　第一グラウンドに行くと、先輩にそう声をかけられた。
「はい」　
　ほとんどの子は中学からすでに陸上の経験のある子たちだが、今年から始める子も何人かいるという。
　琉歌自身は中学時代に県大会で上位入賞の経験を持ち、高校から始める子の気持ちがわかるとはいえないのだが。
　経験者は３年の先輩に説明を受けたいだろうし初心者を２年生が受け持つのは妥当といえるだろう。

「こんにちは！　まずは輪になってくれる？」
　未経験の子たちは緊張の面持ちで所在なげにしていたが、琉歌に声をかけられて動き出した。
「それじゃ自己紹介ね。まずは私から、２年の中倉です。短距離走パート所属、よろしくね」
　初心者は男子も女子もいたが、こだわらず気軽に気さくに声をかける。
「……よろしくお願いします」　
　新入生たちはちょっと面食らっているようだが、素直に頭を下げた。
（まあ、私の第一印象としては「やたらフレンドリーに接する美人の上級生」ってとこかしら）
　そんなことを想いつつ。
「それじゃ、次はあなたね」
　隣の小柄な男子に声をかける。
「あ、１年１組の安田です……運動系の部は初めてですが、よろしくお願いします」
　確かに、あまり体育会系には見えない。
　次は眼鏡の女子が声を上げた。
「１年２組の花村です。中学では２年まで卓球部に所属していました」　

　一通り自己紹介が終わると、琉歌は口を開く。
「それじゃまずストレッチ……あ、その前にシューズの履き方を教えるわね」
　安田がシューズのかかとを踏んづけているのに気づいて、基礎の基礎から教えることにする。
（人に物を教えるって結構難しいんだよね。教える内容をちゃんと理解していないとデタラメなことを教えてしまいかねないし、それで怪我とかしちゃったら文字通り責任を問われてしまうし）
「……できた？　紐はこう結べばめったにほどけないのよ」　
「はい」

　ちらりと遠くを見ると、経験者の方はもう早速練習に入っている。
　だが琉歌は焦らず、ストレッチの仕方をなるべくわかりやすくと心がけながら教え始めた。
「勢いはつけないで、ゆっくり伸ばして……呼吸は止めないで、ゆっくり吸って吐きながら」

　新入生たちの様子を見ると、早くもつまらなそうな顔で脱落しそうな子が数人いる。
（友達に誘われてついてきたクチかしら）
　だが、真剣な顔でストレッチをしている子も何人かいた。
　安田もその中の一人だった。
（この子たちは最後まで着いてきそうね）
　去年のことを思い出しながら、何人残るだろう？　と琉歌は思う。

　練習はまだ、始まったばかりだ。

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あとがき

担当マスター：天村花海
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ご参加ありがとうございました。
それぞれの部活での出会い、お楽しみいただけたら幸いです。

プロフィールを拝見したら、ご参加の皆様全員もれいびでした。
普通の学園生活になるかと思いましたが、寝子島ではまだまだいろんな不思議なことを楽しめそうですね。
新入生が少なめのようであまり新入生向けのシナリオは出せないかもしれませんが、どんどん新しいことに首を突っ込んでいただけたらと思います。

それでは、またご縁がありましたらご参加お待ちしております。

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