放課後のスタート！｜リアクション

放課後のスタート！

アイドル活動研究部のダンスに見とれていた星空雪兎は、ようやく我に返った。
（折角見かけたし、興味もあるから……アイドル活動研究部の見学とかしてみようかな……？）
　引っ込み思案でしゃべるのはあまり得意ではない雪兎だが、思い切ってアイドル衣装の子に近づいていった。

「そこのあなた、アイドル活動に興味ありますか？　一緒にやりませんか？」
　すかさず声をかけられた。
「えと……私でも、踊りで役に立てる……なら？」
　おずおずと答える雪兎。
「踊りが得意なんですね！」
「趣味の範疇ですけど、踊ってる間だけは楽しいから、私でも活動できるかなって……」
　雪兎の小さな声に、その子は満面の笑顔で問いかける。
「歌は好き？」
「歌うのは……どうだろう、やったことが無いから……練習しないとだと思う」
（踊りも見様見真似ではあるけれど……色々やってみなきゃね）

「大丈夫ですよ！　みんなでレッスンするから、少しずつ覚えていけばいいわ」
　差し出されたアイ活研のチラシを受け取り、雪兎は少し考える。
（他の部活も見てみたいけど……）
　そして答えた。　
「……うん、もっと踊ってみたい……色々な部活も気になるけど、アイドル活動研究部……覚えておくね」
　雪兎がその場を離れかけたとき、入れ違いにロングヘアの女性がやってきた。
「どう？　新入生入ってきてますか？」
「雛鶴先生！　はい、順調です」
　アイドルと言われても納得しそうな美人だ。
　そういえば入学式の時、若くて綺麗な先生だなと思った記憶がある。
（顧問の先生なのかな）

　アイ活研の先輩から離れた後も、いろんな部活の人から声をかけられた。
「護身術がわりに柔道やらない？　女の子でも大丈夫よ」
「野球部のマネージャー募集中です！」
「文芸部に入りませんか……」
「そこのあなた、一緒に舞台に立ちませんか？」
　
（柔道や野球とか、スポーツは苦手だし、文学は……好きでも嫌いでもないし。演劇は……どうだろう……どっちでもかな……？）
「こんにちは。陸上部はどう？　初心者も歓迎よ」　
　思い悩む雪兎の目の前に、スレンダーなポニーテールの先輩からチラシが差し出された。
「すみません……」
　断り切れずにチラシを受け取りつつ、小さな声で謝ってその場を去る。
　初心者でもいろんな可能性があって、頑張れば思いがけない楽しさがわかるかもしれない。

（けどやっぱり……）
　雪兎の心の中には、目に焼き付いたアイドル活動研究部の女の子たちの楽しそうなダンスが流れていた。

　

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