放課後のスタート！｜リアクション

放課後のスタート！

「今日は部活の勧誘の日ね」
　水上桜は、水泳部と家庭科同好会の両方に参加しているが、今回は水泳部の勧誘の方へ行くことになっている。
（今年は私も3年生か）
　部活の勧誘に駆り出されるのも最後、と思うとちょっとしんみりする……かもしれない。

「桜、これお願い」
　そんな感傷に浸る間もなく、集合場所に先に来ていた友人からチラシを渡された。
　さっそく勧誘スタートだ。
「水泳部です！　部室見学やってます、どうぞ！」
　新入生たちに声をかけ、チラシを配っていると。
　チラシを受け取った子が聞いてきた。
「あの、別の部活と掛け持ちできますか？」
　桜は新入生に笑顔を向ける。
「うちの部は基本的に緩いから、水泳部メインでなくても大丈夫よ。気分転換に泳ぎたいとか、カナヅチだけど水に入るのは好き、だとかそんな感じでも全然ＯＫだから」
「そうなんですか」
　安心した様子の新入生に、さらにフォローする桜。
「本格的に大会出場を目指す子にはしっかり指導するからその辺りは安心して。そうそう、言い忘れてたけど、私だって水泳部のほかに家庭科同好会に参加してるし、それなりに両立できてるから」
　そこまで説明したところで別の部員が口を挟んだ。
「この子は他にも生徒会の副会長もやってるのよ」
「え、ほんとですか？　へぇー、凄い」
　新入生の桜を見る目が尊敬のまなざし？に変わったようで、ちょっと恥ずかしくなる。
「別にすごくはないけど……そのくらい肩の力を抜いていいというか、気軽に来て」
「うーん、どうしようかな」

　そこへ、新入生の女子が二人やってきた。
「水泳部ってここですか？」
「あたしたち、中学の時水泳部だったので、入部したいです」
「本当？　ようこそ、それじゃ部室やプールを案内するわよ」
　桜は二人に入部届を渡す。
　書かれた名前を見ると、朝永真深と手島ゆかりとあった。
「あ、見学だけなら私も行きます」　　
　掛け持ちのことを質問した子も一緒に来ることになった。

　プールを外から眺め、真深が言う。
「飛び込み用のプールはないですね」
「飛び込み？　ここにはないけど、寝子島スポーツセンターで練習できるわよ。冬はグラウンドで体力作りしたり、寝子島スポーツセンターで活動しているの」　
　真深の発言に驚き、桜はわくわくしていた。
「経験者の１年生が来てくれるのは嬉しいわね。楽しみだわ」
「よろしくお願いします」
「まだプール開きは先だけど、基礎体力作りはやってるから。いつでも来てね」　

　真深たちを見送った後、桜はまた勧誘に戻っていく。
「こんにちは、水泳部です！」
　勧誘に説明に、大忙しの桜だった。

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