トッピング☆いちご狩り｜リアクション

トッピング☆いちご狩り

　綾辻綾花は、早川珪といちご狩りに出かけた。
「いちご狩りコースにしましょう」
　と言っていた綾花だが、着いてみたらチョコのいい香りに迎えられた。
「美味しそうな香りですね……ね、珪さん」
　もの言いたげに珪を見つめる綾花。
「そうだね。チョコフォンデュコースがあるんだっけ？」
　珪が頷く。
「はい、いちご狩りからチョコフォンデュコースに変更しませんか？」
「いいよ、僕はどちらでも」
　そんなわけで二人はチョコフォンデュコースを選んだ。

「珪さん、チョコフォンデュですよ」
　泉のように湧き出すチョコファウンテンを前に、綾花は満面の笑顔になっている。
「いただきます」
　イチゴを付けて一口食べると、ちょうどいい甘さと酸味がち口の中に広がる。
「ん～、美味しいっ」
　幸せな表情で綾花は言い、珪はその様子を見て隣で目を細める。
「珪さんも食べてください」
「うん。……これは美味しいね」
　珪の美味しそうな表情に、綾花の笑顔もまた深くなる。
「トッピングもできるんですね。珪さん、トッピングは何にしますか？」
「トッピング？　これは迷うなあ。綾辻さんは？」
　ずらりと並んだ様々なトッピングを前に、綾花はどれから食べようかと目を輝かせる。
「一通り試してみたいです！」
「それじゃ、一緒に試してみようか」
「はい。それじゃ、まずは……わさび」
「……勇気あるね」
「ちょっと怖いですね」
　思いきって口に運ぶと。
「こ、これは、その……」
　綾花は微妙な味に苦笑いする。
「どれどれ……うん、微妙だね……」
　続いた珪も苦笑した。
「それじゃ口直しに、蜂蜜を試してみましょう」
　綾花は次の味を試す。

「この味は合いますね」
　新たな発見に目を輝かせる綾花。
「イチゴが美味しいから意外な味も合いますね。私は蜂蜜とか塩とか美味しかったです。珪さんは？」
「ああ、僕もそれが美味しかった」
　食の好みが合うことに安心しながら、綾花はつぶやいた。
「イチゴの花言葉は幸福な家庭って意味もあるんですよ」
「そうなんだ。詳しいね、綾辻さん」
「ふふふ……あっ、珪さん、チョコついてますよ」
「えっ？」
　綾花は珪の口元に手を伸ばし、指でチョコをぬぐった。
「ありがとう」
　少し恥ずかしそうに珪が言う。
「珪さんって美味しそうに食べるから見てて幸せな気持ちになるんです」
「君だって美味しそうに食べてるよ」
　そう言われて微笑みを零し、綾花はそっと周囲を見る。
　さっきまで行き来していた人がちょうど途絶えていた。
「珪さん、『あ～ん』したいです」
　小声でつぶやく。
「えっ？　恥ずかしいな……」
　周囲を見回す珪に。
「誰も見てないですよ」
　とつぶやいて背中を押す。
「はい、あーん」
「……あーん」
　開いた珪の口に、つまんだいちごを入れると、珪は眩しそうな顔でいちごを味わう。
「美味しいですか？」
「……うん」

（珪さんとの時間はチョコより甘くて溶けそうです）
　綾花は思うのだった。

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