エメラルドグリーンの海で｜リアクション

エメラルドグリーンの海で

「近くに来るとわかるけれど、本当にエメラルドみたいなのね」

　海付近に住んでいる三折部朝衣は婚約者の住沢遥人と共にビーチへ訪れていた。
　朝起きたときにはすごく蒸し暑くて驚いたし、海がエメラルドグリーンになってると聞いてもっと驚いたぐらい。
　本当に入っても大丈夫なのかな？　と少々不安にもなったが、島に住む人々が次々楽しんでいる様子を見て朝衣も入ろうと決意をしたようだ。

　海に入ればまとわりつくエメラルドの輝き。太陽の光を目一杯跳ね返す海の輝きに、ふと朝衣は疑問に思った。
　海の中はどうなっているのだろう？　と。

「遥人、ちょっと潜ってみない？」
「いいね。海の中、ちょっと気になってたんだ俺」

　そう言うと２人は手を繋いだまま、共に海中へと潜る。
　シュノーケル等の装備はないのでゴーグルだけしっかりつけて、大きく息を吸って海の中を泳いだ。

　普段見る海とはまた違った、特別な光景。
　太陽からの光を受け取った水底は、エメラルドグリーンの輝きともともとの青い海の光景を残して広がっている。
　少し不思議なのはエメラルドグリーンとなった影響で、海中生物も多少変化が訪れていることだろう。害のないエメラルドクラゲがすいすいと２人の近くを通り過ぎていく。

　こんな美しい光景を、婚約者と見ることが出来て幸せ。
　それを告げるように朝衣は遥人に視線を合わせると、繋いでいた手をぎゅっと握りしめる。
　朝衣の考えが遥人にも伝わったようで、彼はニッコリと微笑みを返すと……そのまま朝衣を抱き寄せて、お互いの唇を重ねてくれた。

　ほんの数秒だけど、２人にとっては人より少しだけ長い時間。
　祝福するかのように海の中は輝き続けて、エメラルドクラゲ達も２人の仲を祝い続けていた。

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