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春、乱漫
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「バカヤロウ!!」
封鎖された寝子島大橋を満たす大爆音をも貫く、雷鳴のような一喝だった。
「ヘ、頭(ヘッド)!」
「誰が橋をせき止めろっつったよ。クルマをどけねぇか、てめぇら!」
柚春とウォルター、ティオレ、千里(とその肩に止まったハヤブサ)がそれを見ていた。彼らはいつまでたっても鳴りやまない排気音を止めようと、この騒乱の首謀者にひと言物申すべく詰めかけたのだ。
「……あれが暴走族で一番エラい人?」
「エラいというか、まぁリーダーなんだろうねぇ」
柚春は思わず確かめるようにウォルターの青い瞳と、現れたリーダーとやらを見比べてしまった。
カメだ。リクガメだ、立派な甲羅だって背負っている。暴走集団「辺非位喪巣」のリーダーは、二本足で立って歩いてしゃべるカメだった。
「亀がヘッドなのか。変わってんなぁ」
千里も目をぱちくりとさせたが、獣人やら亜人やらと接する機会も多いほしびとのティオレなどはその本質を見抜いたようだ。
「へぇ、なかなか気概がありそうな男じゃない?」
「ようあんたら、ウチのモンが悪いことしたな。すぐに道を開けさせるから、安心しな」
太い眉毛がきりりとして凛々しいカメはなかなか、話が分かりそうだ。疑問を覚えた千里が尋ねた。
「なぁ。何で暴走族のヘッドなんてやってるんだ?」
「俺みてぇなトロそうなのが頭張ってて、不思議か?」
「いや。うーん、まぁな。確かに」
「ははは! いや何、担ぎ上げられちまってな。ウサギとカメって知ってんだろ? あの話の元になったのが何を隠そう、この俺よ」
鈍重に過ぎるカメが、俊敏だが怠惰なウサギを駆け足勝負で打ち負かした逸話はもちろん千里も、他の面々も知っていたことだろう。彼はその刺激的な実績が故、頭になるよう懇願されてしまったらしい。それが今では、この大集団の総長にまで上り詰めてしまった。
もちろん喧嘩の強さや走りの巧み、度胸で男を女を上げるのが族であるから、逸話の華々しさばかりが理由ではないだろう。
「昔取った杵柄にしがみつくようなタマには見えないね。腕っぷしだって相当なもんなんだろうね」
ティオレが言うと、カメはニヤリと口角を上げて見せた。
「へ、ヘッド! 何和んでるんすか!」
「こいつら生意気なんだよ、火車のアニキも負けちまったし……」
「島岡の姐御も引退しちまった!」
そういえば雪乃の姿が見えないのは、ウォルターが車で自宅まで送り届けたからだ。騒音も今は止んだから、今頃はすべて忘れて安らかな眠りについていることだろう。
「ターボババァはどうしたんだ?」
「さぁ、またどっか一人で走ってるんじゃねぇか」
「ともかくヘッド、これじゃメンツ丸つぶれだ、辺非位喪巣のハクが下がっちまうぜ! こいつらぶっとばして、へぶぅっ!?」
鉄拳制裁。カメの拳が飛び、鴉天狗の一人が吹っ飛んだ。ヒレとか前足とかでなく拳である、ぐぐぐと握り込んだその一撃は岩をも砕く程の威力で炸裂した。
信頼し尊敬する総長からの不意の一発に、鴉天狗や仲間たちもぱちくりと目をしばたかせる。そんな彼らへ歩み寄り、倒れた鴉天狗を助け起こしてやりながらにカメは一つ笑みを浮かべ、言うのだった。
「そうだな、俺たちゃろくでもねぇはみだしモンよ。ツッぱってツッっぱって、ナメられたらおしまいだ。だがよぉ、俺たちにはメンツよりも大事なモンってやつがあるじゃねぇか」
「な、何っすかそりゃあ……? 男上げてナメられねぇ以上に大事なモンって、一体何なんっすか!? ヘッド!」
「愛だよ。仲間を愛して、家族を愛して、愛し抜くんだぜ。それすら失くしちまったら俺たちは、ただの荒れ狂う怪物じゃねぇか。なぁ、お前ら」
「か、頭ぁ~……!!」
部外者な千里や柚春などはぽかんとして口を開けてしまったが、仲間たちには響くものがあったらしい。聞けば彼はたくさんの子亀を育てる父親でもあるのだと言う……号泣する仲間たちを大らかに抱きしめたカメは確かにリーダーにふさわしい人柄であったようだ。いや、亀柄か。
立ち上がったティオレや千里、柚春やウォルターらの奮闘の甲斐あって、暴走族は霊界へと引き上げてゆく。
「やったな。みんなお疲れ……そういや、ラッセルのやつはどこに行ったんだ?」
ぴいと鳴いたハヤブサの声は抗議の色に満ちていたが、千里が気づくことはなかった。
仲間たちを纏め上げ、いざ帰還というところでティオレがカメへ声をかけた。
「今度からは霊界で騒ぐんだね。静かに走るってんなら、島の連中も歓迎するだろうさ」
「ああ、そうさせてもらうぜ」
「ねえねえ」
荒くれたちが再び活気づかないようにとリラックスを誘う香りを焚きながらに、柚春が言った。
「カメさん自身は走るのが速くないんでしょ。それでもスピードにこだわりがあるなら、競歩でもやってみたらどう?」
「キョウホ? 何だそりゃ」
すかさずウォルターがスマホに映した競技映像を見せてやる。
「これならウサギもカメも、誰だって平等に速さを競い合えるよ」
突拍子もない提案に聞こえるが、実のところ柚春が今日の騒ぎの解決にと考えた一案だった。ウサギとカメの伝承を彼らがことのほか重視しているようだから、もしやと思い伝えてみたのだ。
「ほう! こいつは面白ぇ」
カメは興味を持ったようだった。
「ありがとうよ。考えておくぜ」
そう言い残して、カメはチームを率いて霊界へと帰っていった。
静謐を取り戻した寝子島大橋の封鎖はやがて解除され、島の住人たちには本土から気まぐれにやってきた暴走集団は朝を待たず解散したようだとの報が伝わり、あやかし云々と噂が駆けめぐることもなかった。
「やれやれ、終わったね。お疲れさん! さてひと暴れしたらちょいと腹が減ったね。何か食べに行かないかい」
ごきりと首を鳴らしながらのティオレの提案に、みなはうなずく。
「とはいえ、まだ深夜だな。この時間にやってる店っつうと」
「寝子野家の牛丼かな。ワット、行こうよ」
「そうだねぇ。じゃ、僕はサンマ丼にするよぉ」
ちなみに数年の後、霊界陸上選手権大会においてカメの主催する霊界フィットネスクラブの面々が競技シーンを席巻するのだが、その顛末はまたの機会に語るとしよう。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
網です。
あやかし暴走族のお話でした。
往年の暴走族について調べていたら、今となっては奇妙な写真が出てくるわ出てくるわ。不思議な時代でしたね。
とはいえ今でもその系譜に連なる人々やチームというのも存在していて、時おり問題になったりするのだそうです。速さを求めるのはどうかサーキットかフィクションの世界であってほしいと願うばかりです。
それでは、また次回に。
網でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
コメディ
バトル
神話・伝説
定員
5人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年07月17日
参加申し込みの期限
2024年07月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年07月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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