比都島の日々｜リアクション

比都島の日々

「ふあ……あ？」

　大きく欠伸をした桜井ラッセル。
　あれ？　いつの間にカナリア姿になったっけ？　と考えたのもつかの間、自分のろっこんが誤爆しちゃったか～なんて考えて解こうとするのだが……。

「あれっ、解けねぇ！？　また何かに巻き込まれたッ！？」

　嫌でも感じ取ってしまう、いつもの巻き込まれた感じ。カナリア姿は慣れっこだが、まさかこの姿のままになってしまうとは誰が想像しただろう。
　場馴れした様子のラッセルは「なんとかなる」と呟いて、状況を確認するために外へと出てみることに。

「んー……」

　眼下に広がるのは普通の光景。だが何か違和感があるのかラッセルは考える。
　寝子島だったらもうちょっと人がいるとか、動物のほうが多くないか？　とか、その辺りが浮かんだところで……ラッセルの隣を通り過ぎる間際、ラッセルを翼で叩いた緑色の鳥がいた。

「えっ、南の島だけにいるケツァール……？！」
「なーに寝ぼけたこと言ってるの！　私よ！」
「……その反応、晴月か！？」
「せいかーい！」

　幻の鳥ケツァール。その正体は風の精晴月。
　もともと晴月はラッセルがカナリア姿になっても感じ取ることが出来るため、空を飛ぶラッセルを見つけてここまで飛んできたようだ。
　驚いた様子のラッセルだったが、そういうのってわかるものなのか？　と眉を顰める。

「わかるよ？　ラッセルだって、今何か気づいてたでしょ？」
「んー……」

　晴月に言われて、確かに、と納得した様子のラッセル。
　というのも、眼下に広がる街の様子は人が動物、動物が人だから動きがちぐはぐでわかりやすい。
　特に元ネコだった人間なんかは自由奔放型が多く、人のそれとは大きく異なっていたからだ。

　こういうのを探すのももしかしたら面白いかもしれない。
　そう考えたラッセルは晴月に向けて、せっかくだから飛び回ってみようと提案する。

「いいね、面白そう！」
「よーし、じゃあ飛び方も違ってるし、鳥の先輩として飛び方レッスンも交えてだな！」
「はい先輩！」

　いつもとは違う飛び方に戸惑っていた晴月に対し、鳥の先輩として色々と飛び方を教えていくラッセル。
　数分もすれば晴月も自由に翼を広げて飛び回り、島の様子を目一杯堪能していった。

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