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【たまにはこんな、ふわゆらの日も】
朝――
倉前 七瀬
は、目覚めた時から様子がおかしかった。
「……僕、浮いてます?」
見れば、地面に足が物理でついていない。思考は寝起きなこともあり若干明瞭ではないが、それにしては身体自体は非常に軽い。心当たりとしては、おそらく、
「――幽霊、ですかね……」
とんっと、つま先で床を蹴る。本当はその仕草もいらないのであろう、七瀬の体はふわりと中に浮き上がり、少し思うだけで自由自在に移動が出来た。
体は半透明で存在感というものがあまりに少ない。試しによくあるお話のように、傍らの壁に手をつけようとすると、するりと違和感なく腕が壁の向こう側まで突きつけてしまった。
「本当に、お約束の幽霊のようです」
七瀬からは驚きよりも、くすりとした小さな笑いがこぼれる――寝子島では、良くも悪くもよくある話だ。
そして、体感として分かる範囲、戻れないという訳でもなさそうだ。ならば、この状況は楽しまなければ勿体ないというものだ。
「少し、外に出てみましょうか」
それならば――目標は、本日休館日である図書館。
「道中の人には僕が視えないようでしたとね……」
道行く人は、傍を通ろうがぶつかりすり抜けようが、誰も七瀬に目を向けようとはしなかった。
「幽霊さんは、こんな世界を感じているのですかね……」
思わず、幽霊の概念に哀愁を感じてしまう。そうしている内に着いた図書館は休館日で人の姿も見当たらない。
「貸し切り状態です」
遮光加工がされた自動ドアをくぐり抜けられるのは幽霊ならではの特権、その先にはただ静かに、無数の本が待ち受けるように鎮座していた。
「……ふーむ」
しかし――問題はすぐさま現実として発覚した。
今完全に幽霊である七瀬は、書架から本を引き出そうとしても、指がすり抜けてしまい本に触れることすらままならなかったのだ。どうやら、その辺りは気合でなんとかなる問題でもなかったらしい。
「やっぱり、悪いことは出来ないということでしょうか……まあ、背表紙の文字を眺めているだけでも楽しくはありますが……」
しかし、手にすら取れないというのは、本好きの七瀬にはあまりにも厳しい。
「……やはり、少しは人のいる場所へ行きましょう」
背表紙だけ見つめても、読書と同様に、心満ちて浸れるか――七瀬がそれを否と判断するまで、さしたる時間は掛からなかった。
ふわふわふよふよ、それは日頃の七瀬の散歩スタイルにも少し似ている。
だが、それでも誰にも気づかれないというのは、思った以上に寂しいものだと思いつつ。
ふと、七瀬が気まぐれに進んだ先。公園の先にある拓けた小さな貯水湖の柵に寄り掛かるように、視界には一人茫洋と佇む
ウォルター・B
の姿があった。
「あ、ウォルターさん。奇遇ですねぇ」
(……声を掛けてみたものの……お話が出来ないのは寂しいですね)
反応はきっとないだろう。せっかくこのような二人きりで会話が出来そうな場所だと言うのに、チャンスとしてはあまりにも勿体ない光景が水のように流れていこうとしている――そのような体感を覚えて、しょんぼりと肩を落とした瞬間、
「………………」
ウォルターは無言で、どんよりとした空気をまとわせつつも、まるでその声に反応したかのように七瀬の方を向いて――目を丸くしてこちらを見つめ始めた。
「あれ、ウォルターさん……僕のこと視えてます?」
「視えてます、という事は、君は他の人には見えていないんだねぇ……つくづく今日の僕がおかしいことを思い知るよ」
ウォルターはそう告げると、まるで昏い地底を思わせる程の深い溜め息をついた。
「ええ、どうやら僕、幽霊になってしまったみたいです。僕が視えるということは、ウォルターさんも何か変わった感じですか」
「幽霊……君の方も難儀なものだねぇ。やってられないよ」
今日という日は、と珍しく吐き捨てるように口にしてから、ウォルターはしばし沈黙した後、七瀬に己の状態について話し始めた。
曰く、何かに触れると、それに無差別に花が咲いてしまうとのこと。
最初に老メイドのメアリに触れてしまい、その部位に花が咲いた。幸い無事だったから良かったものの、居心地は良いものではなく。かと言って外で物に触れようものならば好奇の目を向けられてしまうから、いっそ元に戻るまでこうして人の目に触れない所に引きこもっているとの事だった。
「触れて花を咲かせる力があるなんて素敵です。何もない空き地を花畑に変えられますね!」
「七瀬は妙なところでポジティブだねぇ。これでも衝撃なんだよぉ、周囲でいくらおかしななことは起きたとしても、まさか自分がだなんて」
「んー……でも、花を見たらきっと喜んでくれる人もいると思います。ウォルターさんが僕に触れたら、どんな花が咲くのかみてみたかったです」
ウォルターが、不可思議そうにその言葉について向き合うように思案する様子が伝わってきた。そして「まあ、七瀬がそう言うなら」と不承不承に呟く。
「……実害がないなら。でも、僕幽霊には触ったことはないから責任は取らないよぉ?」
「はい。むしろ初めては嬉しいです」
「――君は、そういうところだよ」
ウォルターが一度、呆れたような表情の後に微笑む。そして、そっと七瀬の方に歩み寄ると、僅かに手を傾けてその頬に触れた。
触れられた七瀬の頬が僅かに光り、ほんのりと温かくなる。そこからふわりと沸き立つように零れ咲くのは、全体的に薄く儚い色合いをしたピンクや紫の花――
「おお」
「これは……色合いは違うけれども薄紅葵――ブルーマロウかな? ……七瀬が養分になってなければ良いのだけれどもねぇ」
七瀬はそれを地面に落ちる前に手で掬い上げる。
「綺麗ですね。こんな花が咲くなら養分でもいいです」
「だからねぇ、君はそういうところ」
再度呆れたように、それでも楽しそうに。無意識にウォルターが七瀬の頭を撫でようとして――手を止めた。
「……」
思わず、その手を七瀬はじっとその続きを待つように、ウォルターを見つめ上げている――
「……七瀬。本当に君が養分になっていたら、一応僕だって心から悲しむ事はある事を覚えておくといいよ」
ウォルターはそう告げて、七瀬と二人で合わせるように笑顔を見せた。
片方は苦笑いを、片方は幸福な笑みを伴わせて。
地面には、撫でられる頭と同時にふわふわと花が舞い降り落ちた――
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担当ゲームマスター
斗々
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年05月04日
参加申し込みの期限
2024年05月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年05月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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