【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪｜リアクション

【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪

〇ぶっちゃけトーク！

「素敵なパフォーマンスありがとうございました」
「それでは、ぶっちゃけトークのお時間です！　トーク希望の方、どうぞ！」
　桜と茉奈の軽妙な司会で、会は順調に進んでいきます。
　
　何番目かに月詠が立ち上がり、壇上に上がってマイクを手にしました。
「旅鴉月詠だ。ぶっちゃけトークというか、ただのお知らせである。我々は芸術科なので卒業制作という名の作品を出したり出さなかったりである。在校生は残された作品を糧にして芸術に励むといい」
　先輩からのメッセージに皆は耳を傾けていましたが。
「卒業式とは卒業生の展覧会であるから是非とも『作品』、ここでは物も人も含む。それを眺めていって頂きたい」
　続いた言葉に、聴衆の多くが目を点にしました。
「ちなみに私の作品は今回彫刻を出した。２匹の猫だよ」
　
（えっ？　それってまさか……卒業式を展覧会にしろ、ということ？）
　桜は驚き、考えます。
　その時、別なところから声が上がりました。
「卒業生の展覧会、いいね！　芸術科に限らず、作品を展示してもらおうじゃないか」
　野々ととお理事長が立ち上がり、ニコニコとそう語りました。
（理事長！　生徒会に相談もなく勝手に……）
　桜は笑顔を引きつらせそうになりながら、平常心を保とうと努力するのでした。

「さっき何描いてたのかって？　これだよ」
　月詠は壇上から見えるようにスケッチブックを上げました。
　景色のラフがいるのが見て取れました。
「創作に使えるものをすぐメモできるほど堂々としたまえよ在校生」
　月詠は胸を張って締めの一言を決めました。
「我々は芸術科だ」
　万雷の拍手が、月詠に降り注ぎました。