【スキー＆スノボ合宿】銀色のキャンパスへ、描けシュプール！｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】銀色のキャンパスへ、描けシュプール！

　リフトの影響で宙ぶらりんになってしまったのは、何も女子バスケ部の面々だけではない。
　綾辻綾花と早川珪の２人も同じように被害を受けていた。

「故障でしょうか……？」
「どうだろう、少し待ったら動くかもしれないからなるべく動かないようにしよう」

　老朽化していることは聞いていたが、まさかこのタイミングで動かなくなるとはと少々焦る珪。
　なにかがあった時には教師として優先すべきことをやるだけだが、宙ぶらりんな状態では綾花を落とさないように極力動かないようにするぐらいしか出来ない。

　今日は時々雪もちらつき、風も一瞬だけ強くなったり弱くなったりを繰り返す。
　その勢いはリフトも揺れるぐらいで、思わず綾花は珪にしがみついた。

「きゃっ！？」
「おっと、危ない」
「ご、ごめんなさい！　急に揺れると、怖くって……」
「それは仕方ない。落ちないように気をつけて」

　ぎゅっと手の力を強めて、落ちないようにしがみつく綾花。
　風によって揺れるリフトはそこそこ怖い。しかも、ここで落ちてしまうとひとたまりもない高さ故に、その恐怖心はより一層煽られていく。
　けれど、隣に珪がいるから大丈夫だと思えてしまうのは何故なのか。
　彼も人間、リフトから落ちてしまえばひとたまりもないというのに、何故か彼がいるだけで頼もしいと思えてしまうもので。

　ガクン、ともう一度大きく揺れる。
　するとリフトは徐々に動き出し、元の通りの速度で再びお客を運び入れた。

「よかった、動いて……」
「このまま宙吊りにならなくて済んでよかったよ……」

　ホッとした様子の綾花と珪は再び動くリフトで揺れながら、コースのスタートラインへと到達。
　キラキラ輝く白い絨毯を、アイコンタクトだけで合図をして２人同時に駆け下りていった。